室井の異動と現実人事との違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/13 05:14 UTC 版)
「室井慎次」の記事における「室井の異動と現実人事との違い」の解説
警察庁警備局における課長職は警視長である警察官をもって充てるポストである。歳末SPの際に警視で警察庁警備局警備課長を務めていたが、警視の階級の警察官が警察庁警備局の課長に就任することはできない(就くとすれば警備課長補佐)。 警視庁首席監察官は監察に関する事務を掌理する警視監級の警察官をもって補職される。その職責の重要性からキャリア組の中でも道府県警察本部長を経験した者が就任することを通例としている。秋SPで34歳にしてこのポストに就いているが、この年齢で官房首席監察官に就くことはない。実際には少なくとも50歳を過ぎないとこのポストに到達できない(実際には、どんなに優秀なキャリア官僚であったとしても30歳代で警視監の階級に至ることは不可能である)。ドラマ上「警察庁長官官房警務課首席監察官」という地位で設定されているが、警察庁長官官房に警務課は無い。監察事務は警察庁長官官房「人事課」に属する「監察官」(警察庁組織令第9条・警察法施行規則第8条参照。3名の監察官が置かれている)が分掌するが、この3名の監察官は「首席監察官」監察についてはその職責の特別な重要性にかんがみ、人事課長よりも更に上位にある長官官房首席監察官が統括する(警察庁組織令第6条参照)。(現実には絶対に起こりえないことではあるのだが、参考までに)この経歴を実際の警察庁の人事にそのまま当てはめると、次のようなことになる。「THE MOVIE」における室井の履歴では警察庁警備局警備課長(警視)→首席監察官(警視正)→警視庁刑事部参事官(警視正)に栄転したかのように描かれているが、実際には上述のとおり警察庁警備局警備課長は警視長、警察庁長官官房首席監察官は警視監である警察官を充てるポストであるから、階級の見地からは「警視長→警視監」と昇任した後に「警視監→警視正の『2階級降格』があった」ことになる。階級だけでも2階級あるが、長官官房首席監察官は警視監を充当する職の中でも地位が高い“高官・幹部ポスト”(指定職俸給表においても、審議官相当の3号俸ないし2号俸が適用される)であり、キャリア官僚人生が破局を迎えたことを意味するほどに絶望的な大左遷である。 上記の二つの人事に関しては制作者が警察庁と警視庁を混同して描写している可能性が強い。具体的には警察庁警備局警備課長は警視庁警備部警備第1課長と、警察庁長官官房首席監察官は警視庁警務部人事第1課長とそれぞれ混同している可能性がある。理由として、警視庁のこの二つのポストはキャリア組でも将来のエース級の人材が充てられること、加えてこれらのポストにいる際に、警視庁管内で警備実施や監察に従事しているシーンがあること、が挙げられる。また、周囲にいる人物の台詞からもその様子が伺える。 警察庁本省の課長補佐は、警視正ではなく警視の階級にある警察官をもって充てるポストである。 警視庁及び道府県警察本部の管理官は、原則として警視の階級の警察官をもって充当するポストであり、キャリアであれば採用7年目、29歳程度で就任するポストである。室井は、「THE MOVIE2」や「容疑者 室井慎次」では警視正で管理官を務めているが、警視正の階級の警察官が管理官に就任することはない(管理官である警視が、直後に警視正に昇任することもない)。 広島県警察本部の警視長級のポストは総務部長であり、警備部長は警視正である。また警務部長を除き、すべてノンキャリア(地元採用)のポストである。室井は警備部長に就任(同時に警視長に昇任)後数ヶ月で同警察本部長(警視監)に昇任しているが、先任の警視長を一気にごぼう抜きして警視監になることはない。 「THE MOVIE3」においては官房審議官を務めているが、官房審議官は実際には各局の局長に次ぐ重要ポスト(局次長級。官房首席監察官同様、指定職俸給表3号俸ないし2号俸が適用される)であり、官房首席監察官と同様に46歳で到達できる地位ではない。
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