実態と終焉
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当初のAppleの説明では、Carbonに対応したアプリケーションは、CarbonLibをインストールしたMac OS 9とMac OS Xで(それぞれのOSに特有の機能を除けば)同じように動作可能というものであった。しかし実際にはCarbonLibには問題も多く、デベロッパはMac OS 9とMac OS X用にコードを書き分けねばならない場面も多かった。ユーザーのMac OS Xへの移行も迅速に進んだため、結局両方のOSで動作可能というメリットが活かされることはあまりなかった。 Mac OS X v10.2からMac OS X v10.4にかけて、CarbonはCocoaを模したHIObject(カスタムコントロールを作成するための機能セット)の導入や、Mac OS X全体の共有基盤といえるCore Foundationとの互換性強化など、当初はCocoa同等の開発基盤として徐々に構造の近代化が計られた。 しかしながらMac OS X v10.5での64ビット対応はUI部分が見送られ、64ビット完全対応にはCocoaへの移行が必須となるなど、AppleはGUIフロントエンドとしてのCarbonを徐々にフェードアウトさせ、Cocoaをメインとする姿勢を強めていった。Mac OS X v10.6では従来CarbonベースだったQuickTimeとFinderがCocoaで作り直されている。 さらにMac OS XはPowerPC CPUのみならず、インテルCPU上へも移植され、Intel MacではCocoaアプリケーションとMach-O Carbonアプリケーションは再コンパイルすることでネイティブに動作するとされていた一方、CFM Carbonのアプリケーションはネイティブ動作せず、Rosetta環境上での動作となった。 Rosetta環境はMac OS X Lionで廃止され、次のOS X Mountain LionではCarbon自体の利用が非推奨となった。macOS Catalinaからは32bitアプリケーションへの対応と共にCarbonも廃止されたため、Cocoaで作り直されていないCarbonアプリケーションは完全に動作しなくなった。
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