太陽系内の知的生命への期待と観測・探査
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「地球外生命」の記事における「太陽系内の知的生命への期待と観測・探査」の解説
ジョヴァンニ・スキアパレッリの火星観測に関する論文が発表された時代(1879年、1881年)から今日に到る長きに亘って、地球以外の太陽系内惑星にも生命が存在する(あるいは、存在した)のではないかとの推測が絶えたことはない。温度や大気の組成や引力の大きさなどを考慮したところ、特に生命体が棲んでいる可能性が高いと考えられていたのが火星であった。「火星に知的生命が棲んでいて地球にまでやってくる」といったストーリーのSF作品も盛んに創られた。 火星を観測した天文学者パーシヴァル・ローウェル(1855-1916年)は、スキアパレッリがイタリア語で "canali"(※『運河』の意もあるが、ここでは自然地形としての『溝』の意)と呼んだ地表面の直線的地形を英語で "canal"(運河)と解釈し、「人面岩」など人工建造物に見える巨大な構造体があるのにも気付き、これらがスキアパレッリの言うような自然地形ではなく人工物に違いないとの認識の下、文明の存在を示すものであろうとの説を、1894年にボストン科学ソサエティで行った講演で初めて唱え、次いで、1895年の自著 "Mars "(和題:火星)、1906年の自著 "Mars and Its Canals " 、1908年の自著 "Mars As the Abode of Life "(和題:火星 生命のすみか)にも記した。しかしながら、後世に行われたマリナー計画(1962-1973年)による探査と研究により、パーシヴァルの見ていたものが自然地形であった事実が判明し、火星人工物説を巡る論争は完全否定される形で決着した。知的生命の火星での現生は確認できず、パーシヴァルが指摘した文明の痕跡も否定されたことから、太陽系内における地球人以外の知的生命の存在可能性は限りなく低いと見做されるようになった。 地球にも熱水噴出孔付近など、摂氏400度を超え、太陽光も届かない過酷な環境でも生物が生きているという事実から、エウロパなど宇宙の星々にも、微生物などの地球外生命が存在するのではと語るNASAの研究者もいる。
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