大逃げ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 22:55 UTC 版)
2番手以下の馬を大きく引き離す逃げ。 大逃げを行うことを「大逃げを打つ」と言われる。大逃げを行うとレース中に2番手との差が極端に開き、特に長距離競走ではその差が顕著となる。第82回天皇賞・秋では、プリテイキャストが大逃げを行った結果、道中で2番手以下を100m以上引き離して、そのまま勝利した例もある。こういった大逃げによる独走は一人旅とも呼ばれる。しかし、多くの場合は相応の実力と、馬場状態や他馬の動向などが有利に働くこと等が必要であり、それらに恵まれないと大逃げしてもレース後半にスタミナが保てず、大きく失速して大敗という結果となる。 大逃げを多用した代表的な競走馬にサイレンススズカ・セイウンスカイ・ツインターボ・メジロパーマー・エイシンワシントン・アドマイヤメイン、アメリカ合衆国ではセクレタリアト等がいる。 この他にも日本の競馬では、一昔前には八大競走などの大レースにおいて、大逃げをする競走馬がいた。このような大逃げは実力的に大きく劣る競走馬が「せめてテレビ中継によく映るように」という馬主の要望によって行われることが多く、そのような競走馬はテレビ馬と呼ばれていた。ただし、1991年10月以降は、出走頭数制限とレース体系が整備されているため、その様な馬はほとんど存在しない。 もっとも、『勝つための戦術』としての大逃げは、各国問わず少ないながらも存在している。競馬の格言で「人気薄の逃げ馬は買い」と言われるように、後続集団で有力馬が互いに牽制し合い、ゴール前の直線でスパートをかけるも逃げた馬を捕らえ切れなかったということで波乱をまねく結果が少なからず発生している。代表例として、前述のプリテイキャストやクィーンスプマンテ(単勝配当7710円)、第129回天皇賞のイングランディーレ(単勝配当7100円)など。他にも、重馬場のときにあえて前半に突き放し終盤に重馬場のため後方待機の馬が届かないことを見越して逃げるときもある。 馬の個性を生かす大逃げの場合は、大別すると 絶対的な能力(スピードまたはスタミナあるいは両方)の違いによる 一定のラップを刻み後続馬にも脚を使わせた上で粘りきる 抑えの利かない気性のままに先行する の三通りとなる。 1の例としてはトキノミノル、マルゼンスキー、サイレンススズカなどが挙げられる。サイレンススズカの主戦騎手の武豊は「他馬との絶対的なスピード差の為に大逃げの形になっているだけ」と述べている。このようなタイプは直線でもう一度伸びる二の脚を使い後続を突き放して勝利することもある。また、サニーブライアンやタップダンスシチーのように強引に先頭に立ち押し切るという絶対的なスタミナで逃げ切る馬もいる。 2の代表例はテスコガビーやメジロパーマーであり、後続馬に迫られ必死で粘って勝利を収めることが多かった。このタイプはいつも大逃げになるとは限らない。 3の代表例がエイシンワシントンであり、2000mの朝日チャレンジカップでもそこそこの好走を見せはしたものの、調教から見せる気性の荒さのために、短距離を中心に使うようになった。前述したプリテイキャストもこのタイプである。ツインターボは2と3の中間であり、一見大逃げに見えるレースでもラップタイムはさほど速くない場合もある。
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