大深度路線の建設
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 00:16 UTC 版)
「ロンドン地下電気鉄道」の記事における「大深度路線の建設」の解説
資金調達が軌道に乗り、ベーカーストリート・アンド・ウォータールー鉄道の建設が再開された。工事中断時点でトンネルの50%、駅構造物の25%の工事が完了していた が、1904年2月にはエレファント・アンド・カッスル - マリルボン間のトンネル工事が完了し、駅構造物の工事が行われている段階となった。グレート・ノーザン・ピカデリー・アンド・ブロンプトン鉄道とチャリングクロス・ユーストン・アンド・ハムステッド鉄道は1902年7月に着工し、ロンドン地下電気鉄道は1904年10月発行の年次報告書にグレート・ノーザン・ピカデリー・アンド・ブロンプトン鉄道の工事進捗率は80%、チャリングクロス・ユーストン・アンド・ハムステッド鉄道は同75%と記載している。 先行する大深度路線と同様、ロンドン地下電気鉄道の路線は土中をシールドマシンで掘削し、鋳鉄のブロックを円形にボルトで固定した後、薬液を注入してブロックの外側を硬化させて構築されたシールドトンネルを2本建設する工法で建設された。トンネルは道路の直下に2本を横に平行して建設することを基本としたが、道路幅が狭いところでは2本のトンネルが上下に平行に構築された。ロンドン地下電気鉄道が建設した3つの路線の駅の地上構造物は建築家レスリー・グリーンの設計による標準化された構造のものとされた。駅舎は赤いテラコッタ(英語版)タイルが貼られた鉄筋構造で、上階に半円状の窓をもつものが基本である。将来駅舎の上に商業施設を追設することを考慮し、駅舎の屋根は平面とされた。各駅には駅舎とホームを結ぶ2から4基のエレベーターと非常用螺旋階段が設けられた。ホーム階の傾斜した壁面には駅名標とレスリー・グリーンがデザインした駅ごとに異なる模様が配された 。 ロンドン地下電気鉄道ではウェスティングハウス製の軌道回路を使用した、前方の閉そく区間に列車が在線しているか否かで信号表示が決まる自動信号システムが採用された。信号は線路の脇に設置されたトリップアームと連動しており、信号が赤の時はアームが立ち上がる。列車が赤信号を超えて進んだときは車両側のブレーキ配管に設置されたトリップコックが地上側のトリップアームとあたり、ブレーキが自動的に作動する仕組みであり、日本では打子式ATSと呼ばれているものである。
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