多項式函数の重要性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 02:42 UTC 版)
多項式函数がよく用いられるのは、それが和と積だけ(冪は単に反復積の簡便な表記であるに過ぎない)でできた、最も単純な函数であることによる。あるいはまた、次数高々 n の多項式函数の全体が n + 1 階導函数が恒等的に零になる函数の全体に一致するという意味においても、多項式函数は単純である。 数値計算における重要な面として、複雑な函数を多項式近似によって調べることができるかどうかという点が挙げられるが、それが適当な条件下で可能であることを保証する定理がある。そのもっとも重要なものが、任意有限回微分可能函数が局所的に多項式函数であることを述べるテイラーの定理、および有界閉区間上で定義された任意の連続函数がその区間上で一様に望むだけの精度を以って多項式近似できることを述べるヴァイアシュトラスの近似定理である。 多項式函数の商は有理函数と言う。それらは計算機の中央演算装置で実行可能な加法・乗法・除法(と論理演算)だけでできているから、計算機で直接計算できる唯一の函数ということになる。そうでない函数、例えば三角函数や指数・対数函数などは、計算機で評価するために有理函数で近似することが必要になる。変数 x の与えられた値において多項式函数を評価するために、定義通りに多項式を適用したり x の冪を計算したりするのではなく、より効率的なホーナー法を利用することができる。 多数の等間隔に置かれた点における多項式函数の評価が必要な場合、ニュートンの有限差分法は計算量を劇的に下げることができる。チャールズ・バベッジの階差機関は、多数の点における差分法で多項式を評価することによって、巨大な対数表および三角函数表を自動的に作成するために考案された。
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