墳頂埋葬施設
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/31 17:22 UTC 版)
埋葬主体は墳丘内で3基、周溝から5基の埋葬施設が検出された。墳頂部の1号主体部は割竹形木棺を用いたものであり、南北約4.5メートル、東西約1.8メートルの隅丸長方形の墓壙を設け、そこに木棺を直葬したもので粘土床などの施設は存在しなかった。木棺上面は墳丘上面から40センチメートルの深さで検出された。割竹形木棺は素材がコウヤマキで棺蓋のごく一部に損傷があったものの遺存状態は極めて良好であった。全長は棺蓋、棺身とも328センチメートル、幅は蓋の外径が38-47センチメートル、身の外径が37‐49センチメートル。内外面には切削痕跡の認められる箇所があり、全面に加工が加えられ、外表面に樹皮は全く残存しなかった。木棺内部の遺骸はほとんど朽ち果てていたが、棺内の北側と南側で1体ずつ分の歯牙が検出されている。2体の被葬者が頭位を違えて1個の棺に納められていたわけである。副葬品はなかったが、北側の被葬者の頭部の部分には朱の痕跡があった。2号主体は割竹形木棺の1号主体に隣接した木棺墓である。攪乱により墓壙の正確な規模、形状は不明であるが、南北3.4-3.5メートル、東西1.2メートルで設置方法は木棺直葬であった。木棺の遺存状態は極めて不良であったが準構造船の船底部分を再利用したものと推定された。棺蓋の現存長は285センチメートル、幅70センチメートル、棺身は現存長285センチメートル、幅60センチメートルである。棺内からは1体分の歯牙が検出されている。3号主体は土器棺墓で、1号主体の西側に位置する。墓壙は長軸87センチメートル、短軸60センチメートルであり、土器棺は棺身と棺蓋で構成されており、棺身となる壷は讃岐地方産の大型複口縁壷であった。土器棺内からは人骨、遺物とも検出されなかった。
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