基本配置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/14 21:08 UTC 版)
「サーベラス (モニター)」の記事における「基本配置」の解説
本艦の基本構造は乾舷が低い平甲板型船体の前後に、背の低い円筒形砲塔2基を配置する当時の典型的なブレストワーク・モニターの艦形である。ブレストワークとは、砲塔基部に設けられた舷側装甲を持つ構造物のことである。当時の低い乾舷しかない船体にそのまま砲塔を置いたのでは、砲塔を填めている開口部から波浪が容赦なく艦内に浸水してしまう。そのため、砲塔の位置をブレストワークで嵩上げする事で少しでも浸水を少なくしようと言う工夫であった。この設計は同時代のイギリス海軍の装甲艦「デヴァステーション級」などにも見られる。このブレストワークのおかげで、機関区や居住区も波浪よりも高く位置することになるため、外洋航行時でも乗員が楽に行動できるスペースを得られた。しかし、上部構造物の前後両端は主砲塔で占められてしまい、自由に使えるのは砲塔に挟まれた中心部だけのため、上部構造が上へ上へと多層構造化せざるを得なかった。 本艦の乾舷は僅か0.9mしかない。船体中央部に、甲板一段分高くなったブレストワークが設けられている。ブレストワーク上には、前方から順に、前部連装主砲塔、煙管型の通風筒と細身の1本煙突、簡素な単脚式のマスト、後部連装主砲塔が配置された。さらに前後の砲塔の上部にオーバーハングする形で空中甲板(フライングデッキ)と呼ばれる構造物が組まれており、その上に箱型の操舵艦橋を設けていた。ブレストワーク上、マストの周囲は装載艇置き場となっており、装載艇を使うときには片舷2本1組のボート・ダビットにより舷側甲板へと下ろし、そこから舷側に付いた2組のボート・ダビットにより運用されていた。 完成後、オーストラリアへの回航航海時には、航洋性能を高めるために簡易的な帆走設備と乾舷を高める囲いを臨時に装着するなどの改装が施された。当時、その姿は同時期の砲塔装甲艦「モナーク(HMS Monarch)」にやや似ていると評する者もあった。
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