坊つちやん (映画)
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『坊つちやん』(ぼっちゃん)は、夏目漱石の中編小説『坊つちやん』を原作とした映画化作品。これまでに5度映画化され、1935年版、1953年版、1958年版、1966年版、1977年版がある。
1935年版
P.C.L.映画製作所(現在の東宝)制作。1935年3月14日公開。82分。白黒。
キャスト
- 坊つちゃん:宇留木浩
 - マドンナ:夏目初子
 - 校長:徳川夢声
 - 赤シャツ:森野鍛治哉
 - 野だいこ:東屋三郎
 - うらなり:藤原釜足
 - 山嵐:丸山定夫
 - 漢文の先生:生方賢一郎
 - 芸者小鈴:竹久千恵子
 - 婆やきよ:英百合子
 - 萩野のお婆さん:伊藤智子
 
スタッフ
1953年版
キャスト
- 坊ちゃん:池部良
 - 山嵐:小沢栄
 - 赤シャツ:森繁久弥
 - たぬき:小堀誠
 - うらなり:瀬良明
 - 野太鼓:多々良純
 - 漢文の先生:渡辺篤
 - 博物の先生:笈川武夫
 - 小使:大庭六郎
 - マドンナ:岡田茉莉子
 - お清:浦辺粂子
 - 〆太郎:藤間紫
 - 萩野老夫人:三好栄子
 - いか銀:中村是好
 - いか銀女房:馬野都留子
 - マドンナの母:平井岐代子
 - うらなりの母:本間文子
 - 山嵐の妻:三條利喜江
 - 釣屋のじいさん:田辺元
 - 女中お松:三舟あき子
 - 芸者〆香:津路清子
 - 芸者甲:原恵子
 - 芸者乙:市川恭子
 - 芸者丙:久世まゆみ
 - 旅館に出て来る芸者:田川晶子
 - その連れの男:河崎堅男
 - 車夫A:須永康夫
 - 生徒高山:加賀麟太郎
 - 新聞記者:宇野晃司
 
スタッフ
- 原作:夏目漱石
 - 脚本:八田尚之
 - 監督:丸山誠治
 - 監督助手:石橋克巳
 - 製作:加藤譲、佐藤一郎
 - 撮影:山崎一雄
 - 音楽:渡辺浦人
 - 美術:島康平
 - 録音:西尾昇
 - 照明:岸田九一郎
 - スチール:石川久宣
 - 製作主任:石橋嘉博
 
製作
池部良が佐藤一郎東宝プロデューサーに「藤本(真澄)プロデューサーも、悪くない人だと思うけど、何か、便所へ入ったときの思いつきで(映画を)製作しているようだし(池部)良ちゃんのためにという作品を作る情熱はまるでないみたい。そんなものばかりに出演されている没個性な良ちゃんが、僕、悲しいのよ、僕も良ちゃんも、文学青年。僕、良ちゃんをバックアップして、良ちゃんに、ばっちりハマった文芸映画を作ってみたいと思ってるんだ」などと口説かれ[1]、同じ江戸っ子の心意気に池部は感激し、佐藤は「良ちゃんは三船君みたいに、ただ怒鳴りまくってればいいという俳優さんじゃないです。知性と理性に包まれた馨しい人で、言うなれば、ジェラール・フィリップみたいな役者だと思うよ」「差し当たって、どんな作家のものを演ってみたい?」と聞かれたが、何も頭に浮かばなかった池部は、薄暗い畳の毳立つその部屋から『坊つちやん』の一場面を思い浮かび、「夏目漱石の『坊つちやん』はどう?」と思い付きで言ったら佐藤が「『坊つちやん』、いいんじゃない。僕達、江戸っ子だからピンと来るよね。広島だか岡山出身の藤本(藤本真澄)の抵抗に遭うかも知れないけど、森さん(森岩雄製作本部長)を拝み倒して、何とかいい文芸作品にしてみせましょう」と言った[1]。ところがその後一向に佐藤から連絡もなく、忘れかけていたころ、佐藤から電話があり、「八田尚之に書いてもらって、丸山誠治監督、マドンナに岡田茉莉子さん、清が浦辺粂子さん、小沢栄の山嵐、赤シャツは森繁久弥さん、東京映画で撮ります」と言った。池部は「東京映画って何ですか?」「僕は東宝専属ですから、そんな、訳の解らないところで撮影するのは、勘弁して頂きたい」と言ったら、佐藤は「東宝も年間の製作本数、全部丸抱えで作ると、客の入りが悪くて損しちまうと、穴埋めが上手くいかないから、外注の形式の会社を作ったんだよ。興行成績が良ければ東宝が載く。悪けりゃ東京映画や新東宝が、足出し分背負わされちまう、てなことにしたわけよ。ケチな商法で、映画会社を経営しようって、これの推進役が、森本部長で、その尻馬に乗っているのが藤本よ。経営から言えば、それでいいんだろうけど、映画が好きだからという、熱き血潮が失くなっちまってるというのは困るよね。森先生も森先生だ。藤本と、どう関係しているのか、どう利用しているかは知らないけど、冷たいよ、映画人じゃないね」などと上司と同僚をボロカスに批判し、「東京映画って、どこにあるんですか?」と池部が聞いたら「国電の目黒駅を降りて、白金の方へ4、5分歩いたとこ。戦争中、海軍大学の机上作戦演習室の大きな格納庫みたいな建物を使ってんだ」と言った[1]。
1958年版
キャスト
- 塩原昌之助(坊っちゃん):南原伸二(南原 宏治)
 - 清:英百合子
 - 校長(たぬき):伴淳三郎
 - 教頭(赤シャツ):トニー谷
 - 堀田(山嵐):伊藤雄之助
 - 吉川(野太鼓):三井弘次
 - 古賀(うらなり):大泉滉
 - 小使:左卜全
 - マドンナ:有馬稲子
 - 古賀の母:本橋和子
 - いか銀:桂小金治
 - いか銀女房:村上記代
 - 萩野家主人:稲川善一
 - 萩野家夫人:沢村貞子
 - 氷屋の婆さん:草香田鶴子
 - お寺の住職:小林十九二
 - 芸者つばめ:関千恵子
 - 芸者すずめ:三谷幸子
 - 芸者年増:水木凉子
 - 宿屋の番頭:島村俊雄
 - 宿屋の女中:水上令子
 - 宿屋の下働き:後藤泰子
 - 新聞記者恩田:杉浦直樹
 
スタッフ
1966年版
キャスト
- 小川大助:坂本九
 - 校長:古賀政男
 - 教頭:牟田悌三
 - 堀田:三波伸介
 - 古賀:大村崑
 - 吉川:藤村有弘
 - 那美(マドンナ):加賀まりこ
 - 山田小夜:九重佑三子
 - 芸者小夏:市川瑛子
 - 芸者ぽんた:宗方奈美
 - 汽車の中の女:香山美子
 
スタッフ
同時上映
『スチャラカ社員』
1977年版
| 坊っちゃん | |
|---|---|
| 監督 | 前田陽一 | 
| 脚本 |  前田陽一 南部英夫  | 
    
| 原作 | 夏目漱石『坊つちやん』 | 
| 製作 | 大谷信義 | 
| 出演者 |  中村雅俊 松坂慶子 荒木道子 地井武男 米倉斉加年 岡本信人 湯原昌幸 大滝秀治 荒木道子 五十嵐めぐみ 宇津宮雅代  | 
    
| 音楽 | 佐藤勝 | 
| 撮影 | 竹村博 | 
| 編集 | 杉原よ志 | 
| 製作会社 | 松竹=文学座 | 
| 配給 | 松竹 | 
| 公開 |   | 
    
| 上映時間 | 92分 | 
| 製作国 |   | 
    
| 言語 | 日本語 | 
松竹、文学座製作[2][3][4][5]。中村雅俊主演・前田陽一監督。
キャスト
- 坊っちゃん:中村雅俊
 - マドンナ:松坂慶子
 - 赤シャツ:米倉斉加年
 - 山嵐:地井武男
 - 狸:大滝秀治
 - うらなり:岡本信人
 - 野だいこ:湯原昌幸
 - 小夜:五十嵐めぐみ
 - 〆香:宇津宮雅代
 - 小使:今福正雄
 - 清:荒木道子
 - 金内喜久夫、本山可久子、坂口芳貞、大泉滉、田口精一、粟津號他
 
スタッフ
- 原作:夏目漱石
 - 脚本:前田陽一、南部英夫
 - 監督:前田陽一
 - 助監督:満友敬司
 - 製作:大谷信義
 - 企画:奈良邦彦
 - 撮影:竹村博
 - 音楽:佐藤勝
 - 美術:梅田千代夫
 - 録音:平松時夫
 - 調音:小尾幸魚
 - 照明:飯島博
 - 編集:杉原よ志
 - スチール:赤井博且
 - 協力:松山市、奥道後国際K・K、實〇 久阿彌
 
製作
『坊っちゃん』5回目の映画化で[2]、2024年まででは最後の映画化作品[5]。古典的青春文学を前田陽一監督は、中村雅俊の現代的な明るい個性を活かして、文学臭を感じさせない青春映画に仕立てた[3][5]。1977年頭に発表された松竹の年間ラインアップでは発表されず[6]。正式に『男はつらいよ 寅次郎と殿様』との併映で夏休み興行が決定したのは1977年春先[7]。本作のマドンナとして出演している松坂慶子はテレビで人気を得た人で[8]、映画にもコンスタントに出てはいたが[8]、当時は映画女優という印象は薄い人だった[8]。大映時代のイメージを払拭するためか、映画では清純派イメージの役柄が多かった[3][4]。松山城を中心に愛媛県松山市ロケが多く行われている。ただエンディングの三津浜港は海岸に建物を建てた簡素なもので、1906年設定でもあっているのか分からない。
同時上映
脚注
- ^ a b c 池部良『そして夢にはじまった』 4巻、毎日新聞社、1996年、287–291頁。ISBN 4620311421。
 - ^ a b 【作品データベース】坊っちゃん - 松竹
 - ^ a b c 『ぴあシネマクラブ 日本映画編 2004-2005』ぴあ、2004年、622頁。 ISBN 978-4835606170。
 - ^ a b c 壬生智裕 (2023年10月24日). “中村雅俊と言えば教師役!文豪・夏目漱石原作の映画「坊っちゃん」”. HOMINIS. スカパーJSAT. 2025年11月1日閲覧。
 - ^ a b c 起きて転んでまた起きて 前田陽一の反マジメ精神喜劇ぱらだいす – ラピュタ阿佐ヶ谷
 - ^ 高橋英一(『情報通信』代表取締役)、鳥畑圭作(『文化通信』編集責任者)、西沢正史(『読売新聞』文化部記者)、黒井和男、坂東護(本誌編集部)「決算号特集Ⅱ 『映画・トピック・ジャーナル』ワイド座談会 76年映画界総括と77年の展望を語る 77年度邦・洋各社主なラインアップ」『キネマ旬報』1977年2月下旬号、キネマ旬報社、208–209頁。
 - ^ 「映画界東西南北談議 夏場の興行依期待の映画界 稼ぎ時の興行・宣伝にスポットをあてる」『月刊ビデオ&ミュージック』1977年4月号、東京映音、38頁。
 - ^ a b c 「映画界東西南北談議 昨年以上に多難な年になりそう 大作ムードの荒波を乗りきる各社」『月刊ビデオ&ミュージック』1977年2月号、東京映音、36頁。
 
外部リンク
- 1935年版
 
- 1953年版
 
- 1958年版
 
- 1966年版
 
- 1977年版
 
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