国際法の法源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 15:28 UTC 版)
国際法においては、伝統的に慣習法と条約がただ二つの法源として認められてきた。かつてより重要だったのは国際慣習法(慣習国際法)で、その理由は、18世紀までは条約の数が少なく、慣習法がカバーする領域が広かったためである。また、条約が拘束力を持つためには「合意は守られねばならぬ」という(慣習)法が条約以前に存在していなければならないからである。とはいえ、現代もっとも重要な法源が、圧倒的に数量を増した国際条約であることは、もはや疑いをえない。 他の二つの法源、すなわち法の一般原則と判例・学説は、国際司法裁判所規程が裁判の基準と認めてから、法源として認めるべきか論じられるようになった。このうち法の一般原則は法源の一つとして認められる傾向にあるが、判例学説などは認められていない。 国際司法裁判所規程の38条1項には、 国際条約(international conventions, whether general or particular, establishing rules expressly recognized by the contesting States)、 慣習法(international custom, as evidence of a general practice accepted as law)、 一般的法原則(法の一般原則、the general principles of law recognized by civilized naitons)、 判例・学説(judicial decisions and teachings of the most highly qualified publicists of the various nations) が掲げられている。ただし、判例・学説については、「同規程第59条の規定に従うことを条件として(subject to the provisions of Article 59)」かつ「法準則を決定する補充的な手段として(as subsidiary means for the determination of rules of law)」という限定が付いているため、真正な法源とは考えられておらず、法の認識源(Rechtserkenntnisquellen)にすぎないといわれる。同規程第59条は「裁判所の裁判は、当事者間において且つその特定の事件に関してのみ拘束力を有する。(The decision of the Court has no binding force except between the parties and in respect of that particular case.)」としている。
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