哺乳類での実験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 22:28 UTC 版)
ラットを使った研究では、性的興奮の度合いがテストステロンの減少に敏感であることが示されている。テストステロンが不足したラットに中程度のテストステロンを投与すると、性行動(交尾、パートナー選択など)が再開したが、低濃度のテストステロンを投与した場合には再開しなかった。従って、これらの哺乳類は、低活動性欲障害などの性的興奮障害に悩むヒトの臨床集団を研究するモデルとなる可能性がある。 調査したすべての哺乳類で、新しい雌に出会うと雄のテストステロン濃度が著しく上昇した。オスのマウスで反射的にテストステロンが増加するのは、オスの最初の性的興奮のレベルに関係している。 人間以外の霊長類では、思春期のテストステロンが性的興奮を刺激することで、雌との性的体験をますます求めるようになり、その結果、雌に対する性的嗜好が生まれる可能性が指摘されている。また、ヒトなどの霊長類の成人男性の体内でテストステロンを除去すると、性的動機は低下するが、それに伴う性行為(マウンティング、射精など)の能力低下は見られないという研究もある。 精子競争(英語版)理論に基づき、オスのラットで性的になるように条件付けすると、それまで中立的だった刺激に対する反応としてテストステロン値が上昇することが示されている。この反応は、交尾時に複数のオスが存在する場合に精子の競争を助ける陰茎反射(勃起や射精など)を働かせ、運動性の高い精子をより多く生産し、より高い確率で繁殖することを可能にする。
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