同種間の闘争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/13 05:40 UTC 版)
同種個体への攻撃性は繁殖に関係するいくつかの目的にかなう。この目的のうち一般的なものの一つは順位の確立である。特定の種の動物が他個体の住む環境に置かれたとき、最初にすることは社会的順位を決定し自分の立場を守るために戦うことである。一般的に上位の個体は下位の個体よりも攻撃的である。大多数の同種間闘争は実験個体の導入から24時間以内に終わる。 オスとメスが異なる攻撃性の傾向を持つことを説明する理論はいくつかある。いずれも生存の主要な「目的」が個体のDNAを伝達するチャンスの増大であると考える点では共通している。そのうちの一つは一方の性が他方より多くの親の投資を行うために、一方の性は他方にとっての希少資源となると述べる。大多数の種においては多くの投資を行う性はメスである。オスにとって、高い社会的序列の維持と資源の保有は繁殖の機会を獲得し、遺伝子を伝えるために重要である。メスはそれとは異なり、繁殖成功は同時に長い妊娠期間と授乳に束縛されることを意味する。したがってオスの繁殖成功はつがうことのできるパートナーの数に束縛される。 その結果、オスはしばしばメスよりも頻繁に身体的な攻撃性を発揮する。オスは他のオスと争い、リスクを冒して高い社会的地位を確保する。オスはまた自分のパートナーの持つ他のオスの血をひく仔を殺すことさえある(頻度は少ないがメスにもある)。オスは従って身体的な福利厚生を軽視する傾向にある。対照的にメスは他の個体と資源を争う。資源は子どもに変えることができる。社会的地位の確保はメスよりもオスにとって高く付く。それはメスが高い社会的地位を獲得しても余分な利益をオスよりも獲得しにくいからである。理論的にはメスは健康と豊かさのために低い攻撃性、低いリスク、資源を得るための間接的な戦略を採らせるようになると予測できる。その結果、メス同士の資源を巡る闘争では互いを負傷させることはまれである。 この事実は人間に翻訳されると、男性が女性よりも社会的地位を望む傾向を示すと示唆する。社会では、男の子の攻撃性は社会的地位と自尊心によってさらに動機付けされるが、一方女の子の攻撃性は地位ではなく資源獲得に集中され、より身体的な危険が少ない間接的な隠れた攻撃性に向かうと予測できる。しかしながら、動物の行動を用いて人間の行動を説明すること、現代人の行動を進化的に説明することには広い反対がある。
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