合法的な非タンパク性窒素と違法な飼料への添加
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 07:03 UTC 版)
「中国の汚染タンパク質輸出問題」の記事における「合法的な非タンパク性窒素と違法な飼料への添加」の解説
反芻動物は自らの腸内のバクテリアによる発酵によっていくつかの非タンパク性窒素(NPN)を得る。NPNは反芻動物のタンパク質を補う。猫や犬、豚(そして人間)のような非反芻動物はNPNを得ることができない。NPNは反芻動物に尿素やリン酸アンモニウムやビウレットをもたらす。たまに重合化された尿素樹脂か尿素とホルムアルデヒドの混合体は(ともにホルムアルデヒド処理された尿素として知られる)は尿素の代用として利用される。前者は窒素の排出のよい制御をもたらすからである。この実験は中国やフィンランド、インド、フランスなどの国で行われた。 シアヌル酸はNPNとして利用される。例えば、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド社が製造する牛のNPNサプリメントにはビウレット、トリウレット、シアヌル酸や尿素が含まれている。FDAは飼料や飲料水の中に一定の量のシアヌル酸が含まれていることを認めている。 メラミンは1958年から特許として認可され、牛用のNPNとして利用されてきたとされている。しかし、1978年メラミンは反芻動物のNPNとしてはふさわしくない可能性があると結論付けられた。なぜなら綿実粕や尿素のような他のNPNと比べ牛の腸内で加水分解されるのが遅く、また不完全であるからである。 中国では尿素樹脂を非反芻動物の飼料に混入することは普通に行われていた。中国国内では婉曲的に「蛋白精」と名付けられて売られており、「新しいタンパク性窒素の飼料添加物の一種」と書かれていた。しかし、少なくとも国連の食糧農業機関の報告では尿素樹脂を一部の非反芻動物に与えることは適切であると提案されており、飼料の結合剤として水産養殖に利用することも提案されていた。 少なくとも既に2005年にはそれほど値段の高くないNPNを含んだ濃縮コメタンパク質が非反芻動物用の飼料として市場に出回っていたという報告がある。江陰市和泰物貿有限公司のホームページでは、他の匿名の供給者によって低価格で市販されている「コメタンパク質の偽物」から、等電点分析により汚染物質が検出されたと警告した。その報告でいう汚染物質がメラミンなのか他のNPNなのか、その時汚染された濃縮コメタンパク質が食品に利用されていたのかは明らかにされていない。 4月18日、アリババ・ドット・コムで徐州安営の名前で販売されていた「Esb protein powder」の広告が掲載された。その製品は天然のタンパク質を含み家畜の飼料として最適とされていた。しかし、その製品はクレームこそつけられていなかったが、実は質の悪いタンパク質を160~300%含んでいた。またその広告では非タンパク性窒素の略語である「NPN」を使用し、それに似た広告は他のウェブサイトで早ければ2005年の10月31日には掲載されていた。山東濱州新鵬生物科技有限公司の「EM bacterium active protein forage」や山東済南生物科技有限公司の「HP protein powder」など製品は似たような名前をつけられていた。
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