台湾での殺人事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/07 04:10 UTC 版)
「2019年逃亡犯条例改正案」の記事における「台湾での殺人事件」の解説
本改正案の直接のきっかけとなったのは、2018年2月17日、台湾で起きた潘暁穎殺人事件である。この事件において、被害者の潘暁穎(女性)と容疑者の陳同佳(男性)は香港人学生カップルであり、当時台湾を旅行していた。2月17日、潘がほかの男性と性的関係を持ち妊娠したことをめぐって争いになり、陳が潘を絞殺した後、死体を旅行かばんに入れ、台北捷運竹囲駅近くの草むらで死体を遺棄した。その後、陳は1人で香港に帰り、潘に連絡できなかった親族が香港の警察に通報した。 香港の警察が調査した結果、陳が香港に帰った後に潘のキャッシュカードでお金をおろしていたことが判明、陳は3月に窃盗罪の容疑で逮捕された。取り調べの結果、陳は潘の殺害と死体遺棄を自白した。しかし、香港と台湾の間には犯罪人引渡し条約も相互法的援助条約も締結されておらず、2018年時点の逃亡犯条例と刑事相互法的援助条例は香港と「中華人民共和国のその他の部分」(香港の法律では中華民国が実効支配する台澎金馬を中華人民共和国の一部としている)の間の犯罪人引渡しと相互法的援助に適用できないため、これらの条約、条例を理由に陳を台湾に引き渡すことができなかった。解決策として野党が陳の一件にのみ条例を適用できるよう逃亡犯条例を時限的に改正すると提案したが、香港行政長官の林鄭月娥は政府として時限的改正は受け入れられず、本殺人事件への適用と同時に両条例の全般的改善を目指すとした。 殺人事件が香港で起きたものではないため、香港の刑法では殺人罪で訴追できず、香港でおきた窃盗罪とマネーロンダリングでのみ訴追した。ただし香港の刑法では、児童買春など児童との性的行為については国外での行為であっても香港の永住権を有する者に限り香港で訴追できる。 2019年2月、香港政府は逃亡犯条例および刑事相互法的援助条例の改正案提出を発表した。
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