原発被災による火災
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/27 23:47 UTC 版)
「新潟県中越沖地震に対する東京電力の対応」の記事における「原発被災による火災」の解説
柏崎刈羽原発が被災した際、地震による油漏れが原因で3号機の変圧器から出火があった。しかし地震により消火配管が破断していたことで初期消火が阻害された。この件は尾を引き、原子炉建屋に対して周辺設備の耐震性が低すぎるという疑念を呈し、甘利明経済産業大臣(当時)すら改善の余地を認める旨のコメントを出す結果となっていた。さらに柏崎刈羽原発では化学消防車が配備されていなかったため、変圧器火災の鎮火に時間を要した。 また当時は事務本館の1階に緊急時対策室が置かれており、地震の揺れで扉が開閉不能となり入室できなかったことで地元消防等への連絡に支障をきたした。被災日の午後1時には対策室が使用可能となったが、今度は各号機の状態監視を行う表示装置がダウンし、各中央操作室と電話で定時連絡しなければならなくなった。 こうしたトラブルも重なり自衛消防隊の招集も上手くいかなかった。地元の柏崎消防本部は住民の救助などに出払っており、非番の応援者が出勤してくるまで発電所に回す人員の余裕はなかった。仕方なく変圧器の初期消火は3号機付近の東電社員5名で実施したが、使えない消火栓の代わりになる消火ポンプが軽トラックに積んであることにすら誰も思い当らなかったという。 また震災により、固体廃棄物貯蔵庫にて放射性廃棄物を詰めたドラム缶の山が崩れた。 こうしたことから、この地震で問題視されたことの一つに、原子力発電所の自衛消防隊が貧弱であったことが挙げられた。 2007年7月26日、原子力発電所を保有する全電力会社は経済産業省に対し、下記の改善事項を実施する旨を報告した。 全原子力発電所に化学消防車を配備し、油火災に備える 中央操作室に地元消防との直通回線を設置する 常駐あるいは発電所近くで待機する、10名以上の自衛消防団を組織できるよう準備する この時点では、24時間体制で専従の初期消火要員を配置している原子力関係施設は日本では皆無であった。東京電力では同年8月中に化学消防車を購入し、管内の3原子力発電所で初期消火要員を3交替24時間体制で常駐させることとした。
※この「原発被災による火災」の解説は、「新潟県中越沖地震に対する東京電力の対応」の解説の一部です。
「原発被災による火災」を含む「新潟県中越沖地震に対する東京電力の対応」の記事については、「新潟県中越沖地震に対する東京電力の対応」の概要を参照ください。
- 原発被災による火災のページへのリンク