南岸低気圧による関東地方平野部の雪とその予想
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/11 11:58 UTC 版)
「南岸低気圧」の記事における「南岸低気圧による関東地方平野部の雪とその予想」の解説
既述のように東京を含めた関東地方の平野部の雪のほとんどは南岸低気圧に伴うものである一方、その予想は難しいとされている。これは、関東地方特有の地形性の「滞留寒気」や低気圧のコースのずれが予報の誤差要因となるためである。週間天気予報でも「雨か雪」・「雪か雨」で発表している。 南岸低気圧により関東地方平野部に雪の可能性がある場合、予報を左右する主な要素は以下が挙げられる。 南岸低気圧のコース 南岸低気圧の接近時に中心が陸地に近いほど関東は雨になりやすく、遠いほど雪になりやすい。一般的に伊豆諸島の八丈島付近を境にして、これより南を通ると雪の確率のほうが高く、北を通ると逆に雨の確率が高い。なお、陸地から遠すぎると低気圧の雨域から外れるため降水自体がない確率が高くなる。過去には現業予報でこのコース判断を雨雪判断の要としていたこともあったが、数値予報が発達した現在ではあくまで複数の判断材料の1つとして用いられるに留まっている。 滞留寒気層 北と南に山脈を擁する地形の影響で関東平野では、地表に接する厚さ数百mの冷気の層(滞留寒気)が形成されることがしばしばある。滞留寒気は、低気圧接近初期では乾燥した大気中で雨雪が蒸発して大気から気化熱を奪う効果、雨雪が本格化した後では冷たい雨雪自体の冷却効果により、降水の開始とともに形成される(このため、降水とともに気温が急降下する)。層内は冷たいままほぼ等温となるため、雪が融けずに降る確率が高まる。日本海側では上空850hPa(約1,500m)の気温-6°C以下が雪の目安とされるが、滞留寒気の為に関東平野では-4°C以下が雪の目安とされ、場合によっては-3°Cより高くても雪となる事例がある。滞留寒気内の地表付近は北風・西風であり、関東平野の北側と西側にそびえる2,000m超級の山地から吹き下ろすような風系を持つ。これに対して低気圧からは暖かい南風・東風が吹き込んでいて等温線の間隔が込んでいるが、地形などの影響で入り組んだ分布となる場合があり、予報誤差の要因となる。なお、滞留寒気が重要なファクターとなるため「東京都心で降雪があるときは必ず(と言ってよいほど)北、北北西または北西の風である」とされている。 各地点の気温や湿度 各地点の気温や湿度(湿度が低いほど雪が融けにくい)も雨雪判断の目安となる。滞留寒気による気温急降下がどの程度進むかが気温を左右する。 なお、南岸低気圧による関東平野の雪は"雪水比"が0.5 - 1.0程度で「湿った雪」が多く、降雪時の気温も0 - 1°C程度の場合が多い。
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