十四根本堕(戒)
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密教の代表的な戒律といえば、この『十四根本堕』(戒)である。通常は、この十四根本堕にも詳しい解説と「口伝」とがあり、後段として「三昧耶戒を守ることによる利益」、「三昧耶戒を犯すことによる過失」、「三昧耶戒を取り戻すための方便」の三つの教えが付随する。 また、この戒律はチベット密教では「作タントラ」と、「行タントラ」に属す戒律とされ、今日では、『時輪タントラ』に基づいて説明されることが多いが、他のタントラにも共通する重要な戒律である。1・4・5・7番目の四条が中心となる戒律である『四重禁戒』と、十条の戒律とで構成されるが、これら十四条の戒律を破ると密教における『波羅夷罪』に相当する。それ故に、「十四の根本である地獄に堕ちる罪」(十四根本堕)という名前が付けられている。 『十四根本堕』(戒) 諸々の師僧や、僧侶(ラマ)を軽蔑してはならない。 御仏の言葉に違反してはならない。 金剛兄弟(兄弟弟子)に対して、怒りを起こして争ってはならない。 一切衆生への「慈悲」を捨ててはならない。 「菩提心」を捨ててはならない。 自他の宗派を誹謗してはならない。 未熟な者には密教の教えを説いてはならない。 五蘊からなる仏を軽視してはならない。 諸々の「自性法」を疑ってはならない。 「慈悲」を毒する考えを、心に抱いてはならない。 教えを、その名称によって差別してはならない。 御仏を信仰する人の、「信心」を尊重しなければならない。 既に得ている「三昧耶」を守らなければならない。 智慧を自性とする「女性」を誹謗してはならない。 『三つの教え』【三昧耶戒を守ることによる利益】 三昧耶戒を守ることで法の加護と、仏法の速やかな成就が得られる教え。 【三昧耶戒を犯すことによる過失】 三昧耶戒を破ることで様々な障害が起こり、死後に地獄に堕ちることに関する教え。 【三昧耶戒を取り戻すための方便】 三昧耶戒を失った際に、速やかに過失を取り除き、再び戒を得る以下の三段階の手順。 戒師である師僧(根本ラマ)に対して供養する方法。 仏・法・僧伽の三宝に三昧耶戒を犯したことを懺悔して、「懺法」を修する方法。 再び灌頂を授かり、三昧耶戒を得るための方法。
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