医学的利用の可能性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/28 15:21 UTC 版)
クルクミンの生理作用として抗腫瘍作用や抗酸化作用、抗アミロイド作用、抗炎症作用などが知られている。 抗炎症作用はエイコサノイド合成の阻害によるものだと考えられている。また、フリーラジカル捕捉能を持ち、脂質の過酸化や活性酸素種によるDNA傷害を防ぐ。クルクミノイドはグルタチオン-S-トランスフェラーゼを誘導するため、シトクロムP450を阻害しうる。 クルクミンの生理活性と医学的有用性は近年盛んに研究されている。抗がん効果では、がん細胞特異的にアポトーシスを誘導するとの報告がある。また、クルクミンはがんをはじめとした多くの炎症性疾患に関連する転写因子であるNF-κBを抑制しうる。実際、事前に発がん物質を投与されたマウスやラットに、0.2%のクルクミンを添加した食餌を与えたところ、大腸癌の発症において有意な減少が見られたとの報告がある。 2004年、カリフォルニア大学ロサンゼルス校 (UCLA) の研究チームはアルツハイマー病モデルマウスを用いて実験を行い、クルクミンが脳におけるβアミロイドの蓄積を抑制し、アミロイド斑を減少させることを示した。 クルクミンが精神的機能に影響をおよぼすとの疫学的調査結果も存在する。高齢のアジア人を対象としたミニメンタルステート検査で、半年に1度以上黄色カレーを食する群において相対的に高いスコアが見られた。ただし、科学的見地から見れば、この結果はカレー食がもたらしたものか、精神的に健康な人がカレーを好んで食べるのか判断できないし、これらとは全く異なる理由によるのかも知れない。 食事からはごく少量のクルクミンしか体内に吸収されないとの報告もある。黒コショウ成分ピペリンと同時に摂取することで腸管吸収性の改善が見られるとの報告もあるが、この成分は薬物代謝に影響をおよぼすため、摂取には注意を要する。クルクミンに期待される有益な作用の中には、例えば大腸癌のリスク低減など、必ずしも腸管吸収を必要としないものもある。
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