動物の使役
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 18:46 UTC 版)
イルカとの協業 - この漁法は、古代ローマの作家で自然哲学者のプリニー・ジ・エルダーにまでさかのぼる。人間とイルカによる漁業は、近現代でも依然としてブラジル南部ほか世界の幾つかの場所で行われている。ブラジル南部では、男達が干潟の浅瀬に立ったりカヌーに座って列を作り、イルカが現れるのを待つ。現地のイルカは待機中の漁師に向かって魚を移動させる。その後イルカが漁師と十分に接近した瞬間、1匹のイルカが水面から平均1.4秒間現れるという、野生では見られない独特な一連動作を行う。この一連動作が、投げ網を投げるための漁師への目印として機能する。その後イルカは、網をどうにか逃れた魚を捕食する。この独特な漁の形態では、魚達が右往左往して、大きなイルカだと泳げない浅瀬へ魚が逃げ込めなくなっているため、イルカに利得がある。同じく、独特な目印の後から網を投げる漁師は、イルカとの連携なしに単独で魚を獲るよりも多くの魚を捕まえることを研究が示している。 鵜飼い - 中国と日本では、鵜を使った漁の実践が約1300年前に遡るとされている。漁師は鵜の自然な魚獲りの本能を利用して魚を獲っており、鳥の首周りに巻かれた紐が大きくて貴重な魚が飲み込まれるのを防いでいる。飲み込まれなかった大型の魚は代わりに漁師によって採集される。 グンカンドリとの協業 - ナウルの人々は、サンゴ礁での魚獲りに訓練されたオオグンカンドリを活用している。 漁用犬 - ポルトガルでは16世紀に遡るもので、ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグが漁師によって使役され、犬がボート間で合図を送ったり、水から魚や物品を取り出したり、漁船を護衛していた。ラブラドール・レトリバーは、海岸に網を持ち込む手助けとして漁師に利用されている。この犬は網の端に浮かぶコルクをつかんで、岸に引っ張っていく。 コバンザメ科 - コバンザメ科を釣り糸に結わえて、ウミガメを捕獲するのに利用する慣習が恐らく当初はインド洋で実施されていた。この慣習に関する最古の現存記録は、歴史家ピエトロ・マルティーレ・ダンギエーラ (Peter Martyr d'Anghiera) による1511年の記述で、コロンブスが新世界へ向かう二度目の航海時(1494)のことである 。ただし、これらの記述は典拠が疑わしく、もはやインド洋地域に現存しない更に昔の記述に基づいたとされる。
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