創世記の朗読
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/25 02:43 UTC 版)
詳細は「アポロ8号での創世記の朗読」を参照 軌道九周目に入ったとき、二度目のテレビ中継が始まった。まずボーマンが二人の飛行士を紹介し、続いて月面の様子と、月を周回しているときの感覚を伝えた。彼は月の様子を、「広大で孤独で、近寄りがたいような何もない空間」と表現した。続いて各人がそれぞれの印象を述べた後、アンダースが地上にいるすべての人々にメッセージを伝えたいと言い、飛行士たちが交代で旧約聖書の中の創世記を朗読しはじめた。ボーマンは「地球のすべての人々にメリー・クリスマスを」と言って中継を締めくくった。彼のメッセージは、月周回軌道に入り月面の様子を見晴らしてからの飛行士たちの気持ちを集約したものであるように思われた。ボーマンの正確な発言は、以下のとおりである。 「And from the crew of Apollo 8, we close with good night, good luck, a Merry Christmas and God bless all of you - all of you on the good Earth. (そしてアポロ8号の乗組員から皆さんに、おやすみなさい。幸運をお祈りします。メリークリスマス。そして地球に暮らすすべての人々に神のご加護がありますように)」 この時点でもう一つ飛行士たちに残されていた課題は、テレビ中継の2.5時間後に予定されていた地球帰還軌道への投入だった。これは飛行計画において最も重要なエンジン噴射であり、もしSPSエンジンが点火に失敗したら飛行士たちは月周回軌道に取り残され、帰還できる望みは限りなく薄くなる。前回の月周回軌道投入のときと同様、飛行士たちは無線の届かない月の裏側でこの作業をやらなければならなかった。 エンジン噴射は時間どおりに行われ、宇宙船は発射後89時間28分39秒に月の裏側から現れた。遠隔測定のデータが再び得られるようになり、正確な燃焼時間が計算された。通信が回復したとき、ラヴェルは「聞いてくれ、サンタクロースがいたぞ」と冗談で言い、それに対してCAPCOMを担当していたマッティングリー飛行士が「了解、君らはそれを一番よく知っている連中だからな」と答えた。12月25日のクリスマスの日に、8号は地球への帰還の途についた。
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