出来兼ねる

実用日本語表現辞典

できかねる

別表記：出来兼ねる

「できかねる」とは、引き受けられない・対応できない・不可能であることを意味する表現である。

「できかねる」とは・「できかねる」の意味

「できかねる」とは、引き受けられない・対応できない・～するのが困難だ・不可能である・堪えられないことを意味する表現である。漢字で表記すると「出来兼ねる」で、主に目上の人やフォーマルな席、ビジネスシーンで使うことが多い。

「できかねる」とは、「出来る」と「兼ねる」が組み合わされてできた言葉だ。「兼ねる」とは、一つ以上の働きを併せ持つ・遠慮する・はばかるという意味がある言葉だ。「できかねる」の場合は、遠慮するという意味で使われているので、「出来る」を「遠慮する」という意味がある。具体的には、「ほぼ確実にできない」というニュアンスで使われる。

「できかねる」は「できない」と同じ意味がある。しかし、目上の人に対して「できない」と直接的に否定するのは失礼にあたる。そのため、相手に失礼がないように「できかねる」という丁寧な印象の言葉を使う。

「できかねる」は丁寧な印象を与えるが、敬語表現ではない。敬語表現にする場合は、「できかねます」となる。または、「いたす」という謙譲語を使い「いたしかねる」、もしくは「いたしかねます」と表現しても相手に丁寧な印象を与える。

さらに丁寧な表現をしたいときには、「申し訳ございませんが」、「あいにくですが」、「不本意ではございますが」、「大変ありがたいのですが」という言葉を添えると良い。ちなみに、このように相手の感情に寄り添い、相手との関係性に角を立てないようにする言葉をクッション言葉という。

「できかねる」の類義語には、「お役に立てません」、「お力になれません」、「お返事が叶いません」、「ご遠慮します」、「難しい状況です」などが挙げられる。

「できかねる」と「できかねない」は似ているが、言葉の持つ意味は異なる。「できかねない」とは、もしかしたらできるかもしれない・できる可能性があるという意味の言葉だ。

「できかねる」の熟語・言い回し

「できかねる」の熟語・言い回しには、対応できかねる、判断できかねる、参加できかねる、確認できかねるなどがある。

対応できかねるとは

対応できかねるとは、対応することが難しい・恐らく対応できないという意味がある。具体的には、「対応できかねる要件は受けないほうが良い」のように使う。

判断できかねるとは

判断できかねるとは、判断することが困難だ・判断は難しいという意味がある。例えば、「判断できかねる場合は、必ず誰かに相談するようにしてください」のように使う。

参加できかねるとは

参加できかねるとは、参加することはできない・参加はほぼ不可能だという意味がある。例文としては、「今回のパーティは出張と重なっているので参加できかねる」が挙げられる。

確認できかねるとは

確認できかねるとは、確認することは難しい・確認がはばかられるという意味がある。具体的には、「コンピューター上では確認できかねる」、「確認できかねる場合は、御連絡下さい」のように使う。

「できかねる」の使い方・例文

「できかねる」の使い方・例文は、「私には判断できかねるので、部長の指示を受けてください」、「対応できかねるお客様が来店した場合は、その場で上司に相談する方が賢明だ」、「大変恐れ入りますが、当社の方では対応できかねるのでA社までご連絡くださいませ」、「せっかくご相談いただきましたが、当店では対応できかねる商品でございます」、「判断できかねる質問があった場合は、即答せずにいったん持ち帰るのがベストだ」、「取引先の部長はいつも無理難題を申し付けるので、キャリアの浅い私には対応できかねる」などがある。

その他には、「姪の結婚式は私の入院の日に重なっているので、参加できかねると連絡して欲しい」、「今日はスケジュールが詰まっているので、定例会の参加はできかねる」、「今回は確認できかねるので、後日改めてご連絡差し上げます」、「メールでご依頼の要件をチェックしてみたのですが、くわしい内容を確認できかねるので、再度ご連絡いただけると幸いです」、「当日のキャンセルはできかねるので、前日までにご連絡ください」、「アウトレット品は通常よりも安く販売しているので、返品には対応できかねる商品です」、「今日中に確認できかねる場合は、どのように対処したら良いでしょうか？」のようにも使う。

（2023年2月7日更新）