写本の発見
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/30 03:25 UTC 版)
この文書に言及した古代の書物は現在にいたるまで知られておらず、イタリアのミラノにあるアンブロジアーナ図書館で当時司書をしていた文献学者のルドヴィーゴ・アントーニオ・ムラトーリが写本を発見し、1740年に出版して初めて知られることになった。 発見された写本は、76葉の皮紙からなるコデックスの一部であり、各葉は縦27センチ、横17センチである。質の良くないラテン語のものではあるが、11、12世紀に作られた別の四つの写本との比較により写本の誤りの一部は明らかとなっている。その成立は7世紀ないし8世紀のものだと推定されている。が、その内容、特にヘルマスの牧者の成立をピウスがローマの司教であった時とし、それを「ごく最近、私たちの時代」とする記述から、西暦155年頃と推定されるピウス1世の死からさほど間のない170年から210年頃に元来はギリシア語で書かれたものだと推定されており、この種の文書としては現在知られている限りでは最古のものとして新約聖書の正典成立史において極めて貴重な文献である。
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