再生可能エネルギーの排除
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 22:41 UTC 版)
「原子力撤廃」の記事における「再生可能エネルギーの排除」の解説
2010年の決議された原発稼働期間延長は、2011年に撤回されたが、このことに関する長年の議論のなかで、相当の公的機関が、原発による再生可能エネルギーの排除を嘆き、発言を求めている。 再生可能エネルギー代理店(ドイツ語版)は、原発稼働期間を変更したときに、再生可能エネルギーが電力市場から排除されてしまうことを批判している。 フラウンホーファー・風力エネルギー・エネルギーシステム技術研究所(ドイツ語版)の分析によると、従来の発電所が43.9GWの電力を8,000時間(およそ1年間)連続で生みだすことができるのに対し、2020年にはまだ石炭・原子力発電所から24.5GWの電力が必要である。ずっとフル稼働し続けていなければならない化石燃料発電所に追加の投資をすることは非経済的であり、原発を電力として使うのなら化石燃料発電所は停止すべきであるが、それに必要な法律はない。事実上、再生可能エネルギーの優位は脅かされている。 原発稼働期間延長は、「ひどい誤り」であり、ドイツの再生可能エネルギーを少なくとも10年間近く後退させることになるであろうということを2010年に、リヒトブリック社の経営者であるクリスティアン・フリーゲ(ドイツ語版)も警告している。すでに2010年には褐炭および原子力発電所が「柔軟性のないベースロード運用」であるために停電が起こった。稼働時間の延長が引き起こすのは、「発電における再生可能エネルギーの優位が疑わしいものになる」ということであり、おまけに原発企業は、追加の利益によって「発電時の支配的状況を守る」ことができるであろう。その結果、原子力は、「つなぎの技術(Brückentechnologie)」ではなくなり、「再生可能エネルギーの妨害技術」になる。 環境問題専門家委員会(ドイツ語版)(SRU)の見解でも、原発稼働期間延長も、石炭発電所も必要ではない。SRUは、著しい稼働期間延長によって超過電力がシステム内に発生しうることを警告している。従来の発電所は、風力・太陽光エネルギーの急速な変動に対応していないため、充分に再生可能エネルギー発電と両立できるものではない。従来型の発電と再生可能エネルギーの発電の長期間両立させることは、システムにとって非効率であり、無駄なコストが生じる。資源・エネルギー経済学者で、SRUメンバーのオラフ・ホーマイヤー(ドイツ語版)は、「電力の移行時には、原発稼働期間延長も石炭発電所の新規建設も必要ではない。再生可能エネルギーへのつなぎは、すでにできている。 ダルムシュタットにあるHEAG南ヘッセン・エネルギー(ドイツ語版)の最高経営責任者(CEO)アルベルト・フィルヴェルトは、2010年のビジネスウィークで「原子力は、つなぎ技術ではなく、再生可能エネルギーへの移行を加速させるものです」と述べた。フィルヴェルトは、脱原発のために行った過去のインフラ投資についての概観をまとめ、「4つの大企業が生産を寡占している状態にはなかったので、再生可能エネルギーの供給に多額の資金を投入しました」と述べた(※4つの大企業とは、E.ON、RWE、EnBW(ドイツ語版)、バッテンフォール・ヨーロッパ(ドイツ語版)のことを指す)。原発企業がマーケットで優遇されるのなら、この投資は無価値なものになるであろう。フィルベルトは「エネルギー政策的にも、独占禁止法的にも、正しい方法は、脱原発決議を決してやめないということです」 と主張している。
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