再生可能エネルギーの大量導入と出力制御の開始
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 09:37 UTC 版)
「九州電力送配電」の記事における「再生可能エネルギーの大量導入と出力制御の開始」の解説
東日本大震災後に成立したFIT法により、2012年(平成24年)7月から、再生可能エネルギー電気の固定価格買取制度が始まった。九州エリアでは、この制度を利用して大量の太陽光発電設備が設置され、電力系統に連系された。太陽光発電の出力は、電力需要とは無関係に、日照のみに応じて増減する。九州電力は、日中、火力発電所の出力を下げ、揚水発電所を揚水運転することにより、太陽光発電設備から大量の電力が流入しても系統の周波数が維持されるように調整してきた。しかしながら、太陽光発電設備の出力は、九州電力が保有する調整力では吸収しきれない水準まで増えてきた。 そこで、やむを得ず、再生可能エネルギーの出力制御に踏み切ることになった。揚水発電所がない離島では、九州本土よりも早く、出力制御が必要になった。種子島では、2015年(平成27年)5月5日(こどもの日)に、出力制御が初めて実施された。壱岐では、2016年(平成28年)4月15日(金曜日)に、徳之島では同年4月29日(昭和の日)に、初めて実施された。 そしてついに、2018年(平成30年)10月13日(土曜日)、九州本土で初めての再生可能エネルギーの出力制御が実施された。日本の一般送配電事業者10社のうち、再生可能エネルギーの出力制御を実施したのは、九州電力が初めてであった。当日の正午から30分間の需給状況を見ると、九州エリアの電力需要828万kWに対し、供給力は1,293万kWもあった。供給力のうち再生可能エネルギーの出力は595万kWであった。そこで、九州島内の揚水発電所の揚水運転と豊前蓄電池変電所の二次電池への充電により226万kWを吸収し、関門連系線で九州エリア外に196万kW送電してもなお、再エネ出力が43万kW過剰であった。そこで、再エネ出力595万kWの7.2%に当たる43万kWが出力制御の対象となった。 九州本土の再エネ出力制御は、その後、電力需要の低下する土曜日・日曜日と年始に実施されていたが、2019年(平成31年)3月5日(火曜日)、初めて平日に実施された。九州本土の再エネ設備量は3月末時点で904万kW(太陽光853万kW、風力51万kW)に達した。
※この「再生可能エネルギーの大量導入と出力制御の開始」の解説は、「九州電力送配電」の解説の一部です。
「再生可能エネルギーの大量導入と出力制御の開始」を含む「九州電力送配電」の記事については、「九州電力送配電」の概要を参照ください。
- 再生可能エネルギーの大量導入と出力制御の開始のページへのリンク