値の永年変化と増大の謎とは? わかりやすく解説

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値の永年変化と増大の謎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 14:34 UTC 版)

天文単位」の記事における「値の永年変化と増大の謎」の解説

2012年以前の定義においては天文単位の定義が太陽質量 Ms依存するため、太陽質量変化とともに天文単位の値は変化しえた。太陽核融合により質量一部エネルギー変えて、やがて電磁波として放射し、また大気太陽風として放出するので、1年あたりおよそ10分の1の比率質量失っていると見積もられている。こうした減少そのまま太陽からの重力減少意味しすべての惑星軌道半径公転周期増加させる一方それまで天文単位仮想的なテスト粒子ガウス年という一定の公転周期保障される定義されているため、重力減少とともに粒子内側軌道を取らねばならず、天文単位大きさ A が太陽質量 Ms3乗根比例するため、質量減少比率の 1/3 の比率天文単位大きさ減少する。この天文単位大きさ減少理論上100年あたり 0.4 m ほどに相当するとされる。 しかし、2004年ロシアのクラシンスキーとブルンベルクは、測定され天文単位の値が実際に100年あたり 15 ± 4 m割合増大しているとみられることを報告したその後類似の増大天体暦専門家であるアメリカのスタンディッシュやロシアのピチェーヴァによっても確認された。 この謎は2010年現在原因不明であり、またその意味するところ把握しにくい。クラシンスキーらの報告レーダーなどを用いた火星金星水星などの距離測定により得られメートル天文単位の関係のデータ蓄積から明らかになってきたものであるレーダーでの距離計測は、電波往復時間精密に測定することで行われるので、問題は、天体暦から予測されるこの往復時間の非常にゆっくりとした増大捉えられレーダー観測によるメートル単位では惑星軌道拡大しているように見える。一方で惑星動き自体天文単位系で表される天体暦とよく一致しており、天文単位でみれば惑星軌道運動拡大示していない。このため奇妙に天文単位メートルに対して極めてゆっくりと拡大していると表現されることになったこれまで太陽質量万有引力定数変化宇宙膨張影響など検討されてきたが、いずれもその効果はあったとしても十分小さいと考えられており、満足な説明には至っていない。原因についてさまざまな議論継続しており、弘前大学三浦らは惑星の距離の増大が、太陽との潮汐摩擦のためではないか提案している。これは地球潮汐により月の軌道遠ざかることと類似した機構である。

※この「値の永年変化と増大の謎」の解説は、「天文単位」の解説の一部です。
「値の永年変化と増大の謎」を含む「天文単位」の記事については、「天文単位」の概要を参照ください。

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