個人用垂直離着陸機
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1970年代初頭のアメリカ海兵隊のSTAMP (Small Tactical Aerial Mobility Platform)計画で開発が行われていた物で、兵士一名が搭乗して低空を飛行する超小型の航空機。固定翼機ともヘリコプターとも異なる特異な形態をしており、厳密には垂直離着陸機とは異なる航空機である。 米国立航空宇宙博物館別館に展示されているフライング・プラットフォーム、ヒラー1031-A-1 ウィリアムズ X-ジェット 何種類かの試作機が作成されたが量産された物は無く、開発計画は終了しており、一部の試作機が博物館に展示されている。ジェットエンジンやロケットエンジンを用いたものは、駆動時間が極めて短く、実用のものとはならなかった。ローターを用いた形式も人間ひとりを載せて飛行するのが精一杯の代物であり、それ以外の目的に使える余力が無かった。十分な能力を具備させるために機体規模を拡大してしまうと、単にヘリコプターの形を奇抜なものに変えたに過ぎない機体となってしまうのが明らかであった。 ウィリアムズ X-ジェット ギャレット STAMP(英語版) ヒラー VZ-1 ポーニー(英語版) 日本では産業技術短期大学講師の久保田憲司が、過去のVZ-1シリーズを参考に、災害時の情報収集・人命救助用の個人用垂直離着陸機(MicroVTOL、M-VTOLと呼称)を研究・開発している。直径約2m、高さ約2.5m、重さ180kg。円盤の下に取り付けた700ccのエンジン2基で全長1.5mの2重反転プロペラを駆動。姿勢制御は人間のバランス感覚のみに頼らず、ジャイロ装置とコンピューター制御で機体の安定性を確保。設計上、垂直に離陸後、高さ3-5mまで上昇し、最高時速30kmで移動できる。2m四方のスペースがあれば離着陸可能で、土砂崩れなどで車両やヘリコプターが入れない場所にも行けるという。遠隔操作による無人での移動も将来的に考えられている。
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