保証金制度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/13 00:46 UTC 版)
「日本における特許取得手続」の記事における「保証金制度」の解説
出願が公開された後、特許権の設定の登録前までの間、業としてその発明を実施した者に対して出願人は補償金の支払を請求できる(特28年六十五条1項)。補償金の支払を請求するには、事前に特許出願に係る発明の内容を記載した書面を提示して警告する必要がある(同項)。ただし請求相手が出願公開がされた特許出願に係る発明であること知った上で業としてその発明を実施していた場合は、警告は必要ない(同項)。なお、仮専用実施権者又は仮通常実施権者がその設定行為の範囲内で発明を実施する場合は、この者達に補償金の支払を請求できない(特28年六十五条3項)。また先使用権者や職務発明の場合の使用者等も補償金支払い義務を追わない逐条20版(p240)。 請求権を行使するのは特許権の設定の登録後でなければならず(特28年六十五条2項)、時効は登録の日から3年である(特28年六十五条6項)。出願公開後に特許出願の放棄、取り下げ、却下、拒絶査定の確定、拒絶審決の確定等のときは、初めから生じなかつたものとみなす(特28年六十五条5項)。また、一度出願人が警告を出したとしても審査中に特許請求の範囲を補正した場合は、補正後に再度警告が必要になる中山3版(p218)。 請求権はあくまで特許登録前の実施に対するものなので、請求権の行使は特許登録後の特許権の行使を妨げない(特28年六十五条4項)。すなわち、保証金を支払うという事は特許登録までの期間に出願人からライセンスを受けていたのと同じ扱いであり中山3版(p218)、特許登録後のライセンス料は別扱いである。また保証金はライセンスと同じ扱いになる事から、保証金を支払っての登録前実施中に作った物を、特許登録後に販売しても問題ないはずである中山3版(p218)。 請求できる額は、その発明が特許発明である場合にその実施に対し受けるべき金銭の額に相当する(特28年六十五条1項)。請求方法は特許侵害の際の諸規定を準用する(特28年六十五条5項)。ただし請求には悪意または警告を要件としているので、特許侵害の場合の過失推定規定(特28年百三条)は準用されない中山3版(p217)。これは第三者が実施する際、特許広報の調査を義務付けていない事を意味する中山3版(p217)。
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