保護された原産地呼称の使用が認められた例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 01:10 UTC 版)
「原産地名称保護制度」の記事における「保護された原産地呼称の使用が認められた例」の解説
原産地呼称が厳重に保護されているといっても、販売する製品に適当な名前を付けるとすると、そこに原産地呼称が含まれる場合もある。例えば、ドイツのスーパーマーケットであるアルディ・ズゥト (Aldi Süd Dienstleistungs-GmbH & Co. OHG) は2012年のクリスマスシーズンに“シャンパンシャーベット (Champagner Sorbet)”という氷菓を売り出した。これは実際に12%のシャンパンを含むシャーベットであった。つまり、この名前は、その製品にシャンパンが相当量含まれており、それがこの製品の重要な特性の一つとなっていることを示しているのである。これに対してシャンパーニュ委員会 (CIVC: Comité Interprofessionnel du Vin de Champagne) が、原産地呼称保護の保護対象である原産地呼称“シャンパーニュ (Champagne)”の権利の侵害であるとして、ミュンヘンのラント裁判所にシャンパン (Champagner) の名称の使用の差止の訴えを提起した。この訴えは最終的にドイツの連邦裁判所で争われた。CIVCの訴えは、欧州規則No1234/2007 118m項および欧州規則No1308/2013 103項に基づいており、連邦裁判所は当該欧州規則の解釈について欧州第一審裁判所に判断を求めたのである。これに対して欧州第一審裁判所は、アルディ・ズゥトが当該氷菓にシャンパンの名前を使用することは原産地呼称の権利の侵害には当たらないと判断を示した。 具体的には、以下のように説明している。シャンパンの質はシャンパンシャーベットの材料全体の中で重要ではあるものの、シャーベットの中でそれがすべてではない要素であり、同時にシャーベットの特質がシャンパンに結びついていることをシャンパンシャーベットの名称は示している。もし、食品がその重要な特質として、保護された原産地呼称の示す素材に由来する特質を持っていない場合は、その原産地呼称の使用は不適切な使用ということなる。しかし、アルディはシャンパンシャーベットにおいてシャンパンが重要な素材になっているとその名で示すことを、悪意なく意図したのであって、誤解を招く表示とは言えない、としたのである。 ただし、アルディ・ズットは、2012年のクリスマス以降シャンパンシャーベットの販売をやめた。 ちなみに、CIVCはこの件だけでなく、2013年にはiPhone 5sの色のひとつを“シャンパンゴールド”としたApple、2014年にはペンネームとして“シャンパン・ジェーン”を使用したワインライター・編集者のレイチェル・ジェーン・パウェル、2015年にはフロアパネルのシリーズにやはりシャンパンの語を含めたボール&ヤング社(英)などとシャンパンの語の使用について争った。
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