保管義務
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/31 17:06 UTC 版)
受寄者は保管義務を負う。保管における注意義務の程度は有償寄託か無償寄託かにより異なる。 有償寄託(400条) - 善管注意義務 無償寄託(659条) - 自己の財産におけると同一の注意 ただし、商事寄託の場合には無償の場合であっても善管注意義務を負う(商法593条)。 使用・再寄託の制限受寄者が寄託物を使用するには寄託者の承諾を要する(658条第1項)。 受寄者が寄託物を第三者に保管(再寄託・復寄託)させるには寄託者の承諾を要する(658条第2項)。再受寄者は、寄託者に対して、その権限の範囲内において、受寄者と同一の権利を有し、義務を負う(658条第3項)。2017年の民法改正前は復代理の規定(旧105条・107条2項)を準用していたが(旧658条2項)、受寄者の責任を選任・監督に限定することについて疑問視する見解があった。 このほか保管に付随する義務として以下の義務を負う。 危険通知義務寄託物について権利を主張する第三者が受寄者に対して訴訟を提起し、又は差押え、仮差押え若しくは仮処分をしたときは、受寄者は、遅滞なくその事実を寄託者に通知しなければならない。ただし、寄託者が既にこれを知っているときは、この限りでない(660条1項)。2017年改正の民法でただし書を追加した。 第三者が寄託物について権利を主張する場合であっても、受寄者は、寄託者の指図がない限り、寄託者に対しその寄託物を返還しなければならない。ただし、受寄者が前項の通知をした場合又は同項ただし書の規定によりその通知を要しない場合において、その寄託物をその第三者に引き渡すべき旨を命ずる確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む。)があったときであって、その第三者にその寄託物を引き渡したときは、この限りでない(660条2項)。2017年改正の民法で新設された規定である。 受寄者は、前項の規定により寄託者に対して寄託物を返還しなければならない場合には、寄託者にその寄託物を引き渡したことによって第三者に損害が生じたときであっても、その賠償の責任を負わない(660条3項)。2017年改正の民法で新設された規定である。 受取物等引渡義務 受寄者は寄託に当たって受け取った金銭その他の物を寄託者に引き渡さなければならない(665条・646条1項前段)。収取した果実も同様に引き渡されなければならない(665条・646条1項後段)。 なお、金銭を消費した場合の責任につき665条により647条の準用がある。 取得権利移転義務 受寄者は寄託者のために自己の名で取得した権利を寄託者に移転しなければならない(665条・646条2項)。
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