日本の民法上の注意義務
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/04 21:50 UTC 版)
民法上の注意義務としては民法は特定物債権における債務者の保管義務の通則として民法400条に善管注意義務を定め、特に注意義務が軽減される場合(民法659条等)を個別的に規定することとしている。なお、民法400条の善管注意義務は2017年の改正民法で「契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意」と具体化された(2020年4月1日施行)。 善管注意義務留置権者による留置物の保管(民法298条) 特定物引渡しの債務者(民法400条) 委任契約の受任者(民法644条) 事務管理者(民法698条の反対解釈) 有償寄託の受寄者(民法659条の反対解釈) 自己の財産におけると同一の注意義務(固有財産におけるのと同一の注意義務)無償寄託の受寄者(民法659条) 親権を行なう者の財産の管理(民法827条) 相続財産の管理者・相続人(民法918条1項) 限定承認者(民法926条1項) 相続放棄した者(民法940条1項) 財産分離請求後の相続人(民法944条1項) 重大な過失が問題となる場合としては次のような例がある。 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合(民法95条3項) 指図証券の善意取得(民法520条の5) 指図証券の質入れ(民法520条の7・520条の5) 指図債権の証券の調査の権利等(民法520条の10) 緊急事務管理(民法698条)管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。 その他特別法で重大な過失が問題となる場合としては次のような例がある。 失火責任法民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス 国家賠償法1条2項公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。
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