対内的関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/30 17:52 UTC 版)
借主の使用収益権と貸主の用益受忍義務借主の使用収益権借主は借用物を無償で使用収益できる(使用収益権。第593条)。使用収益にあたって借主は用法遵守義務を負うとともに(第594条1項)、目的物を第三者に使用・収益させない義務を負う(ただし、貸主の承諾を得たときは例外的に許容される)(第594条2項)。借主がこれらの規定に違反して使用・収益をしたときは、貸主は契約の解除をすることができる(第594条3項)。 借主は契約の本旨に反する使用収益によって生じた損害を賠償しなければならない。ただし、損害賠償請求権については貸主が返還を受けた時から1年以内の除斥期間があり(第600条1項)、用法違反の時から10年間の消滅時効にもかかる。2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で貸主が返還を受けた時から1年を経過するまでの間は、時効は完成しないとする規定が新設された(第600条2項)。 借主の目的物保管義務 借主は借用物の保管において善管注意義務を負う(第400条)。善管注意義務違反の場合は債務不履行となる。 借主の費用負担義務 借用物の通常の必要費の負担義務を負う(第595条1項)。その他の費用については第583条2項、第196条の規定によって負担する。ただし、貸主が負担すべき費用について借主が支出した場合の償還は、貸主が返還を受けた時から1年の除斥期間に服する(第600条1項)。 貸主の用益受忍義務 借主の使用収益権に対応して、貸主は用益受忍義務(使用収益受忍義務・許容義務)を負うことになるが、この義務は借主による使用収益を妨害しないという消極的な義務にとどまる。 貸主の解除権 借主が用法遵守義務に違反したり、貸主に無断で第三者に使用収益させた場合、貸主は契約を解除することができる(第594条3項)。借主の帰責事由や催告は不要である。 借主の目的物返還義務 #使用貸借の終了を参照 貸主の担保責任 貸主は用益受忍義務のほか担保責任を負う(第596条)。ただし、無償契約であるため贈与者の担保責任の規定(第551条)が準用され、その規定にしたがって担保責任を負担する。
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