目的物返還義務
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/31 17:06 UTC 版)
返還時期を定めなかった場合には寄託者はいつでも返還請求できる。ただし、消費寄託契約において、返還時期を定めた場合は、寄託者はその時期まで受寄者に対して返還請求をすることができない(666条の反対解釈)。寄託物の返還は原則として寄託物の保管場所でしなければならないが、受寄者が正当な事由によって寄託物の保管場所を変更したときは、その現在の場所で返還をすることができる(664条)。 寄託物の一部滅失又は損傷によって生じた損害の賠償及び受寄者が支出した費用の償還は、寄託者が返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない(664条の2第1項)。この損害賠償の請求権については、寄託者が返還を受けた時から1年を経過するまでの間は、時効は、完成しない(664条の2第2項)。寄託物の返還後に寄託者の損害賠償請求等がされる場合には一部滅失等が受寄者の保管中に生じたものか否かについて争いが生じやすく、寄託者の保管中に寄託者の損害賠償請求権の消滅時効が完成するのは不合理とされ、2017年改正の民法で新設された。 なお、契約上の返還請求権が時効により消滅しても、所有権に基づく返還請求権が認められる(通説・判例。判例として大判大11・8・21民集1巻493頁)。
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