目的物と債権の牽連性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/19 09:39 UTC 版)
留置権の成立要件で特に問題となるのが「債権が目的物に関して生じたものであること」という要件である。これは「目的物と債権の牽連性があること」と言い換えられる。一般的にこの牽連性が認められるのは、被担保債権が、目的物それ自体から発生したものである場合(目的物の保管にかかった費用の償還請求権など)と物の引渡を内容とする義務から発生したものである場合(修理代金請求権など)である。 借家契約終了時に借家人が家主に対して費用償還請求権を有している場合(例えば借家の屋根が壊れたのでこれを借家人が修理した場合、本来修理するのは家主の義務であるから、借家人は修理費用を家主に対して請求できる。これを費用償還請求権といい、賃貸借に関する608条に規定がある)には、これを被担保債権として借家の返還義務について留置権を主張できる。 しかし、敷金返還請求、造作買取請求を被担保債権として建物の留置権を主張することは、判例では、建物に関して生じた債権ではないのでできないとしている。
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