借主の義務
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/12 02:33 UTC 版)
目的物返還義務返還時期を定めた場合借主側からは期限の利益の放棄によりいつでも返還しうるが(136条1項・2項本文)、利息付消費貸借の場合には期限までの利息を支払う必要がある(136条2項但書)。 貸主側からは借主が期限の利益を放棄あるいは喪失しない限り返還請求できない(136条1項)。 返還時期を定めなかった場合借主側からはいつでも返還しうる(591条2項)。ただし、借主が返還時期の前に返還をしたことによって貸主が損害を受けたときは、借主に対し、その賠償を請求することができる(591条3項)。591条3項は2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で新設された規定で、貸主の損害は原則的に履行利益ではない(特に金融業者では調達資金の他への転用によって基本的に損害は発生し難い)と解されるため、約定期限までの利息相当額を当然に損害とするのではなく、資金調達コスト等の積極損害について算定すべきとされている。 貸主側からは相当期間を定めて返還の催告をすることができる(591条1項)。相当期間を定めずに催告した場合でも、支払準備に必要な相当期間が経過したとみられる時から遅滞の責任を負う(大判昭5・1・29民集9巻97頁)。 価額償還義務 借主が貸主から受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもっての返還が不能となったときは、その時における物の価額を償還しなければならない(592条本文)。ただし、402条第2項に規定する場合すなわち金銭(通貨)を目的物としている場合に当該通貨が強制通用力を失った場合には他の通貨による(592条但書)。 利息支払義務利息の特約があるとき(有償消費貸借)は、貸主は、借主が金銭その他の物を受け取った日以後の利息を請求することができる(589条2項)。2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で、元本受領の日以後の利息を請求できるとする判例法理が明文化された。なお、前述のように商人間の金銭消費貸借は特約がない場合であっても法定利息を請求できることとされている(513条)。
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