保存の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/02 03:43 UTC 版)
ヘルクラネウムを覆った水、灰、噴石は当初襲った非常な高温と共に遺跡を1600年間非常に良い状態で保存する役割を果たしてきた。しかしながら、発掘が始まると大気に晒された遺跡は緩やかに傷み始めた。これは遺物全ての保存よりも価値のある遺物を入手することに主眼を置くという、町の発掘の当初に取られた当時の考古学の手法ではやむをえないことだった。1980年代初期サラ・C・バイセル博士の指示で遺骨の保存が優先事項になった。有機物が炭化された遺物は空気に晒されると数日の内に劣化した。このためその保存方法が確立されるまでに多くの遺物が失われた。 今日、観光や故意の破壊により公開されている区域の多くで損傷が起きている。また、現在のエルコラーノの町から流れ込む水により多くの建物の基礎部分が侵食されている。再建の試みは逆効果になることが多かったが、最近の保存の努力は効果を上げている。町の保存に予算を振り向けるために現在発掘作業は一旦中断されている。 ヘルクラネウムで出土した遺物の多数は国立ナポリ考古学博物館(英語版)に保管されている。
※この「保存の問題」の解説は、「ヘルクラネウム」の解説の一部です。
「保存の問題」を含む「ヘルクラネウム」の記事については、「ヘルクラネウム」の概要を参照ください。
- 保存の問題のページへのリンク