例外的な使用例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 07:30 UTC 版)
なお、客車だけではなく電車にも電源車が設定されたことがある。これらはやや例外的であるが、客車のそれとほぼ同様にサービス用電源を供給するためである。電車に搭載された電動発電機や静止形インバータは架線からの電源供給がないと動作しないため、非電化区間に電車が乗り入れる場合は、蒸気機関車やディーゼル機関車で牽引するだけではなく、サービス用電源の確保も必要となる。なお、機関車の牽引によらず電車単独での走行を可能とするため電動車に動力用の電源を供給するための電源車は、昭和46年に国鉄で「制御車の床下にガスタービン電源を設置してこれで動力車に給電する」という案が生まれたが、ガスタービン気動車さえも実用化されないまま終わり、この電源車は結局実現しなかった。 「草津」の運行当初は臨時列車であったこともあり、80系電車を用いて運行された。当時電化されていなかった長野原線内では蒸気機関車により80系電車を牽引した。その際、蓄電池を積んだオハユニ71形客車を連結した。エル特急「有明」で485系やJR九州783系電車「ハイパーサルーン」が、かつて非電化であった豊肥本線に乗り入れる際に車掌車「ヨ8000形」にディーゼル発電機を設置した車両(ヨ28001、ヨ28002)や、12系客車の緩急車「スハフ12形」を用いサービス電源を供給した。 また485系のジョイフルトレイン「リゾートエクスプレスゆう」にディーゼル発電機を搭載したマニ50形(マニ50 2186)が用意され、水郡線など非電化区間への乗り入れの際に使用されていた。マニ50 2186は鉄道車両の検査などで工場へ回送される車両に対する控車としても使われたのち、「リゾートエクスプレスゆう」引退後の2019年に東急電鉄へ譲渡、伊豆急行2100系電車「THE ROYAL EXPRESS ~HOKKAIDO CRUISE TRAIN~」の電源車を務めている。また、非電化区間への乗り入れを想定してあらかじめ電車にディーゼル発電機を搭載しておく例としては、485系ジョイフルトレイン「シルフィード(後の「NO.DO.KA.」)」のクロ484-1(現・クハ484-701)やJR東日本E655系電車のクロE654-101が該当する。 また、特異な事例としては、直流専用として製造された151系電車を用い、関門トンネルを越えて鹿児島本線博多駅まで乗り入れる際の事例がある。交流で電化されていた同線内で、動力は電気機関車に牽引されることとし、サービス用電源は421系電車の変圧器を搭載したパンタグラフ付き電動車であるモハ420形を早期落成させ、これを電源車サヤ420形(サヤ420-1 - 3)として使用した。これは初の交直両用の特急形となる481系電車が落成するまでの、あくまでも暫定的な処置であった。 三井化学専用鉄道では、工場内の防爆対策として電気機関車に蓄電池を搭載した電源車を連結して運行している。
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