例外的な授与
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 15:08 UTC 版)
1969年(昭和44年)10月31日、3か月前に人類初の月面着陸を果たしたアポロ11号に搭乗した宇宙飛行士である、ニール・アームストロング、マイケル・コリンズ、エドウィン・オルドリンの3名が、各国歴訪の一環で来日した。同日午後、総理官邸を表敬訪問したこの3名に対し、佐藤栄作総理は自ら文化勲章を手交した。 彼らにはすでにアメリカ合衆国の最高勲章である大統領自由勲章が授与されていた。また、歴訪した諸外国の中にもそれぞれの最高勲章や高位の勲章を授与した例が多く、日本国政府はその対応に苦慮した。日本の栄典制度では、政府高官や将官でもない彼らに対して勲一等や勲二等を授与することは不可能であり、かといって日本の制度に基づいた等級の勲章を授与することは、他国の処遇と著しくバランスを欠くことになるためである。そこで窮余の一策として、単一等級の文化勲章を授与したのである。 彼らに対する授与は、佐藤が閣議で決め文部省は一切関与していない・文化功労者顕彰がされていない・宮中伝達式を行わなかった・外国人に対するものだったことなど、異例ずくめのものであった。しかも、受章者のうち2名(コリンズとオルドリン)が現役軍人であるということから、各方面から批判や疑問の声が沸き起こった。 なお、外国籍の者としてはその後、1978年に理論物理学者の南部陽一郎が、2008年には日本文学研究者のドナルド・キーンが、2014年には物理学者の中村修二が、2021年には物理学者の眞鍋淑郎が受章している。南部は1970年に、中村は2000年に、眞鍋は1975年にアメリカに帰化した日系アメリカ人一世。キーンは在日アメリカ人であったが、受賞後の2012年に日本に帰化した。
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