会社設立における法律回避
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/06/29 07:54 UTC 版)
「法律回避」の記事における「会社設立における法律回避」の解説
会社を設立する際、実際に主たる営業をする国又は地域で会社を設立することをせず、別の国又は地域で会社を設立する場合がある(上記のタックス・ヘイヴンの利用もその一形態)。 著名な例としては、アメリカ合衆国において、実際にはデラウェア州以外の州で主たる営業をすることを目的とする会社であるにもかかわらずデラウェア州の会社法に基づき設立する例が挙げられ、ニューヨーク証券取引所に上場している株式会社の約45パーセントがデラウェア州法に基づく会社である。このような現象が起きる理由としてデラウェア州は他の州と比較して会社の設立が容易であること、法人税など州に支払う費用などが安価であること、会社法の法文や判例が緻密であり会社を巡る法律関係に関する予測が建てやすいことなどがあると言われている。 日本の2005年の改正前の商法の下においては、日本に本店を設け又は日本で営業をすることを主たる目的とする会社が日本以外の国の法律に基づき設立された場合(擬似外国会社)であっても日本法に基づき設立される会社と同一の規定に従うことを要するとされていた(商法旧会社編第482条、有限会社法第76条))。この規定の解釈として、設立から清算結了まで日本の会社と同一の規制に服すべきとする趣旨(日本国内では会社の法人格が認められない結果、権利能力なき社団として扱われる)か設立に関する規定を除いて日本の会社と同一の規制に服すべきとする趣旨(日本国内でも会社として認められるが、日本法により規律される)かにつき見解が分かれるところ、判例は前者の見解を採用している。なお、2006年5月に施行された会社法(平成17年法律第86号)の下においては、擬似外国会社は「日本において取引を継続してすることができない」とされているが(会社法第821条第1項)これに違反し取引をした場合、取引をした者は擬似外国会社と連帯して相手方に対して債務を弁済する責任を負う(会社法第821条第2項)が法人格自体は否定されない扱いとなる。
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