他の命題計算
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 09:50 UTC 版)
命題計算は、現在用いられている論理計算の中でも最も単純なものだと言える(アリストテレスの三段論法は、後述の述語論理に吸収されるため、現代論理学では取り扱われることは少ないが、命題計算とくらべて、言語表現を忠実に分析するという意味では、より素朴な考え方だとも言える。また、推論形式が限定されている点で、形式的にも一見単純である。ただし、現代論理の立場から省みると、そのような推論形式の制限は、かえって理論を複雑にする。また、文構造を主語と述語に分け、量化の概念を導入するなど、より精密だと言える。)。いくつかのやり方で命題計算を拡張することができる。 より複雑な論理計算を作り上げるうえで最も直接的な方法は、用いられる式についてより細かいことが言えるような規則を導入することである。命題論理の「原始的叙述」を項や変数、述語、量化子に分解することを考えると一階論理、または一階述語論理と呼び、命題論理の規則をすべて保ちながらさらに新しい規則を加えたものを得る。(例えば「すべての猫はほ乳類である」から「たまが猫なら、たまはほ乳類である」を推論できる、など。) 一階論理の道具立てを使うと、公理あるいは推論規則によって様々な理論を定式化し、論理計算として取り扱えるようになる。最も有名な例は算術だが、ほかにも集合論やメレオロジーが挙げられる。 様相論理は命題計算ではとらえきれないような様々な推論を可能にしている。様相論理では、例えば「 ρ {\displaystyle \rho } は必然的である」から ρ {\displaystyle \rho } を推論でき、 ρ {\displaystyle \rho } からは「 ρ {\displaystyle \rho } は可能である」が推論できる。 多値論理では文の真理値として真と偽以外のものも許容される。(例えば「真でもあり偽でもある」とか「真でも偽でもない」がよく追加される。またファジィ論理では真と偽の間の無限にこまかい「真実である度合い」が導入される。)これらの論理学ではしばしば命題計算とは異なった計算手法が必要になる。
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