交響曲の形式を拡大する言葉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/18 14:25 UTC 版)
「合唱交響曲」の記事における「交響曲の形式を拡大する言葉」の解説
作曲家は合唱交響曲に交響曲のジャンルの一般的制約を超えさせることによってテクストに応えることもある。これがはっきり表れているのが、ベルリオーズが『ロメオとジュリエット』のために用意した珍しいオーケストレーションと舞台用の指示である。この作品は7つの楽章から成り、第4楽章の「愛の妖精の女王マブ」の後に休憩を置くことを求めている。この間にハープを舞台からおろし、続く葬送行進のためにキャピュレット家の合唱を入場させるのである。ベルリオーズの伝記作家であるダラス・ケーン・ホロマンは次のようなことを見出している。「ベルリオーズの見立て通り、この作品には物語的要素が横たわっているが単純なベートーヴェン的な構成となっている。核となる手法は『幻想[交響曲]』のような合唱付きフィナーレを持つ5楽章の交響曲で、スケルツォと行進曲の両方の(中略)『追加』楽章はこれにより小部分、及び[作品を締めくくる]墓の情景の『ポプリ』により導入部となるのである。」 マーラーは交響曲第2番『復活』において、筋書き的な理由、交響的な理由の両面からベートーヴェン風のモデルを拡張した。声楽の入る第4楽章「原光」は、第3楽章の子どものような信条をマーラーが終楽章で解決させようとした観念的な緊張へと橋渡しするのである。次に彼は交響曲第3番でこの形式を捨て、はじめに純器楽的な楽章を3つ、2つの声楽と管弦楽の楽章が続き、終楽章を再び器楽のみとした。ブライアンはマーラーのようにベートーヴェンの様式を拡大させつつも、交響曲第1番『ゴシック』では遥かに規模が大きく、また遥かに強大な管弦楽と合唱の効果を用いた。1919年から1927年にかけて作曲されたこの作品はゲーテの『ファウスト』とゴシック様式の聖堂建築から霊感を受けている。ブライアンの1番は2部構成となっており、第1部は器楽のみの3つの楽章、やはり3楽章からなり1時間以上を要する第2部はラテン語のテ・デウムに曲を付けた形となっている。
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