交響曲の番号づけ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 03:45 UTC 版)
「フランツ・シューベルト」の記事における「交響曲の番号づけ」の解説
古い番号づけでは、完成された7曲に順に第7番まで番号が振られた。そして『未完成』(D759)は、4楽章構成の交響曲としては未完だが2楽章は完成しており、非常に美しい旋律で多くの人に愛好されているため、第8番の番号が振られた。 他の未完の交響曲のうち、ホ長調D729は4楽章のピアノスケッチで完成に近く(楽譜に「Fine」と書き添えてあることから、一応は完成したとみなす音楽学者もいる)、シューベルトの死後フェリックス・ヴァインガルトナーやブライアン・ニューボールド(英語版)らの手によって補筆され、全曲の演奏が可能になっている。このため、1951年のドイチュの目録では作曲年代順に、ホ長調交響曲D729に第7番が割り当てられ、『未完成』D759が第8番、『大ハ長調』D944が第9番とされた。 しかし、国際シューベルト協会(Internationale Schubert-Gesellschaft)が1978年のドイチュ目録改訂で見直し、交響曲第7番『未完成』、第8番『大ハ長調』とされた。最近ではこれに従うことが多くなってきているが、1951年のドイチュ目録のまま第7番ホ長調D729、第8番『未完成』D759、第9番『大ハ長調』D944とされることもまだあり、さらには後述の『グムンデン=ガスタイン交響曲』を第9番、『大ハ長調』を第10番とすることもあるなど、番号づけは混乱している。日本では、NHKがドイチュ目録に合わせて「未完成=第7番」「大ハ長調=第8番」にしている一方で、音楽評論家の金子建志は「長く親しみ慣れた番号を繰り上げるのは、単に混乱を引き起こすだけ」と主張している。そして、「ナンバー抜きで〈未完成〉〈グレイト〉というニックネームで呼べば、一番簡単で、問題が生じない」とこの問題に対する見解を述べている。 交響曲の同定のために調性も古くから使われてきた。すなわち、第5番D485を「変ロ長調交響曲」、『未完成』D759を「ロ短調交響曲」と呼ぶなどである。なお、ハ長調の交響曲は2曲あり、編成などから先に作曲された方(第6番D589)を「小ハ長調(交響曲)」(ドイツ語で「ディー・クライネ(Die kleine)」)、のちに作曲された方(D944)を「大ハ長調(交響曲)」と呼ぶ。『ザ・グレート』(独語「ディー・グローセ(Die große)」の英訳)の呼称もここから来ている。
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