九州ラグビーフットボール協会とは? わかりやすく解説

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九州ラグビーフットボール協会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/30 05:57 UTC 版)

九州ラグビーフットボール協会(Kyusyu Rugby Football Union)は、九州・沖縄地方にまたがる日本ラグビーフットボール協会の支部協会の一つ。福岡市東区香椎浜ふ頭JAPAN BASE内に事務所がある。

主催大会

3地域ラグビーフットボール協会の管轄エリア

所在地

歴史

黎明期

1899年(明治32年) - 慶應義塾の英文学教員のエドワード・B・クラークケンブリッジ大学出身)が、田中銀之助学習院出身)と共に、慶應義塾生にラグビー指導を始める[9][10]

1911年(明治44年)- 鹿児島高等農林学校(後の鹿児島大学農学部)で、講師として赴任した松岡正男(慶應義塾OB)が1915年(大正4年)まで学生にラグビーを指導する[11][12]。これが九州ラグビーの始まりとなる[13]

1919年(大正8年) - 第三高校同志社のOBが中心となり、「オールホワイト」[14]こと関西ラグビー倶楽部(KRAC)を設立[15]。西部ラグビー協会(後の関西協会、九州協会)の母体となる[15][16][17]

1920年(大正9年) - 関西ラグビー倶楽部との東西OB対抗戦に向けて、慶應義塾OBを中心に関東各校OBからなるAll Japan Rugby Association(AJRA)を設立[18][19]。1906年(明治39年)早慶野球試合でのトラブル[20]以降、両校の試合が禁じられていた慶應義塾早稲田の仲を取りもち、1922年(大正11年)にラグビー早慶戦を実施し早慶スポーツ交流を再開させる[19]など、関東ラグビー協会の母体となる[15]

1922年(大正11年)4月 - 大分高等商業学校開校と同時に、伊藤進三郎(京都市立第一商業学校出身)が、初代主将の森忠太郎ら学生と共に部を創立。九州初のラグビー部が誕生した。

1924年(大正13年) - 福岡中学にラグビー部が創立される[13]1925年(大正14年)には、修猷館(後の福岡県立修猷館高等学校)、旧制佐賀高校(後の佐賀大学)、福岡商業(後の福岡市立福翔高等学校)にもラグビー部ができる[13]

創立

1924年(大正13年)9月 - 慶応義塾OBで当時 九州電灯鉄道に務める横山通夫[12]らにより、福岡で九州ラグビー倶楽部が創立[21][22]。現在の九州ラグビーフットボール協会の母体となる。九州電灯鉄道および九州ラグビー倶楽部には、同じく慶應義塾OBの田辺九万三(後の日本ラグビーフットボール協会第2代会長)がいた[12]。九州ラグビー倶楽部は、1930年(昭和5年)「福岡クラブ」に改称した。

1925年(大正14年) - 西部ラグビー蹴球協会が発足した。これは、三高OB・同志社OBなどからなる関西ラグビー倶楽部が設立母体となった[17]。九州ラグビー倶楽部は、西部ラグビー蹴球協会九州支部として活動を始めた[17][23]。九州支部の初代会長は横山通夫が務めた。

1926年(大正15年)11月30日 - 日本ラグビー蹴球協会が創立。関東ラグビー蹴球協会と、西部ラグビー蹴球協会を統括運営する組織となる[24][25]

1927年(昭和2年)- 三菱重工長崎造船所ラグビー部ができる[13]。1928年(昭和3年)には西南学院(後の西南学院大学)、1929年(昭和4年)には長崎市立商業学校(後の長崎市立長崎商業高等学校)でも創部[13]

1928年(昭和3年) - 日本統治時代の朝鮮満州にそれぞれラグビー協会が誕生し、西部協会の支部として発足した[26]

1930年(昭和5年) - 台湾ラグビー協会が西部協会の支部として発足する[27]

1942年(昭和17年) - 日本ラグビー蹴球協会の呼称および組織は、「大日本体育会闘球会」となり、政府の外郭団体となる[28]

独立

1945年(昭和20年)8月15日 - 終戦。同年9月中旬には、九州帝国大学工学部のグラウンドで、修猷館OB、福岡中学OBらが集まり、対戦を行った。この試合の後、九州ラグビーフットボール協会創立へと動き始める[29]

1947年(昭和22年)9月 - 西部ラグビーフットボール協会が、関西ラグビーフットボール協会九州ラグビーフットボール協会に分かれる。関東ラグビーフットボール協会とともに、傘下の地域協会が3つになる[30]

1948年(昭和23年)3月 - 地域協会が3つになったことをきっかけに、各地域の選抜チームによる三地域対抗試合が始まる[31]。2010年(平成22年)まで毎年開催された。

1949年(昭和24年)- 第1回全国実業団ラグビーフットボール大会(後の全国社会人ラグビーフットボール大会)が開催され、九州代表の配炭公団が優勝[32]。以後、8年連続で九州代表が優勝する。第3回大会で初出場・初優勝の八幡製鉄は、大会を通じ最多12勝を記録した。

1951年(昭和26年)- 朝日招待ラグビーを設立。朝日新聞スポーツライターの松岡洋郎と、九州ラグビー協会理事との対談がきっかけで始まる。九州ラグビー発展のために良い試合を九州で見せることを目的に、毎年1月15日の成人の日に、関東で優勝した学生チームを招待して九州選抜と対戦する形式で、当時 九州最大の大会(対戦)となった。しかし1965年(昭和40年)の第15回から学業で多忙なシーズンオフの3月第1週開催となり、注目されにくくなったが、2010年(平成22年)第60回大会まで続いた[33]

1968年(昭和43年)- 九州リーグを設立。当時、低迷傾向にあった九州地区を盛り立てた。第1回大会出場チームは、九州電力八幡製鉄福岡工業大、三井化学、ヤナセ、福岡クラブ[34]。1972年(昭和47年)に西日本社会人リーグとして発展的解消をした。

1973年(昭和48年)9月2日 - 創立25周年記念式典を平和台陸上競技場で開催[35]

1992年(平成4年) - 九州協会の会長を務めた木元規矩男が死去[36]。彼からの寄附により、「木元杯九州セブンズ 」「木元杯全九州高校新人大会」が開催されている。

1998年(平成10年) - インターネットホームページを開設[37]

2019年(令和元年) - ワールドカップ2019において、九州地区は3つのグラウンド(東平尾公園博多の森球技場[38]熊本県民総合運動公園陸上競技場[39]大分スポーツ公園総合競技場[40])が会場となった。

2022年(令和4年)12月1日 - 福岡県福岡市東区香椎浜ふ頭JRFU福岡トレーニングセンターを開業[41][42]。2023年5月に、施設名を「JAPAN BASE」として全面開業した。九州ラグビーフットボール協会の事務所もJAPAN BASEに移転[43][44]。2023年6月6日には開所式が行われた[45]

2023年(令和5年)5月14日 - 関東大学春季大会早稲田大学明治大学」をえがお健康スタジアム(熊本県熊本市)で開催。これは、2016年(平成28年)4月14日に起きた熊本地震に対する復興支援イベント[46]

歴代会長

役職 氏名 任期 備考
1 西部ラグビー協会九州支部 初代支部長 横山通夫 1925-1937 約12年 [12]
2 西部ラグビー協会九州支部 第2代支部長 伊丹三郎 1938-1947 約9年
3 九州ラグビーフットボール協会 初代会長 伊丹三郎 1947-1950 約3年 西部協会が、九州協会と関西協会に分かれる。
4 九州ラグビーフットボール協会 第2代会長 葛西泰二郎 1950-1954 約4年
5 九州ラグビーフットボール協会 第3第会長 湯川正夫 1954-1969 約15年 1965年度に八幡製鉄全国社会人大会優勝12回を記録。
6 九州ラグビーフットボール協会 第4代会長 葛西泰二郎 1969-1974 約5年
7 九州ラグビーフットボール協会 第5代会長 木元規矩男 1974-1986 約12年
8 九州ラグビーフットボール協会 第6代会長 溝口博 1986-1991 約5年
9 九州ラグビーフットボール協会 第7代会長 木元規矩男 1991-1992 約1年 会長就任中の1992年11月に、87歳で逝去[36]
10 九州ラグビーフットボール協会 第8代会長 土屋俊明 1993-2006 約13年
11 九州ラグビーフットボール協会 第9代会長 徳田昇 2006-2015 約9年
12 九州ラグビーフットボール協会 第10代会長 森重隆 2015-2020 約5年 日本協会副会長兼任[47]。2019年から日本協会会長兼任[48]
13 九州ラグビーフットボール協会 第11代会長 久木元孝行 2020-

出典

  1. ^ a b c 九州ラグビーフットボール協会 |社会人”. 九州ラグビーフットボール協会. 2023年6月7日閲覧。
  2. ^ a b 九州ラグビーフットボール協会 |大学”. 九州ラグビーフットボール協会. 2023年6月7日閲覧。
  3. ^ a b 九州ラグビーフットボール協会 |クラブ”. 九州ラグビーフットボール協会. 2023年6月7日閲覧。
  4. ^ a b 九州ラグビーフットボール協会 |高専”. 九州ラグビーフットボール協会. 2023年6月7日閲覧。
  5. ^ a b c d e f 九州ラグビーフットボール協会 |高校”. 九州ラグビーフットボール協会. 2023年6月7日閲覧。
  6. ^ a b c d e 九州ラグビーフットボール協会 |セブンズ”. 九州ラグビーフットボール協会. 2023年6月7日閲覧。
  7. ^ 九州ラグビーフットボール協会 |女子”. 九州ラグビーフットボール協会. 2023年6月7日閲覧。
  8. ^ a b c d 九州ラグビーフットボール協会 |中学・ジュニア”. 九州ラグビーフットボール協会. 2023年6月7日閲覧。
  9. ^ 大学ラグビーの黎明期 その歴史について”. SPAIA. 2022年12月21日閲覧。
  10. ^ 日本ラグビーフットボール史 2人のキャンタブとその役割”. JRFU. 2023年1月15日閲覧。
  11. ^ 【《九州協会が独立・西部協会は関西協会へ》】”. adeac.jp. 2025年9月27日閲覧。
  12. ^ a b c d 『九州ラグビー史』九州ラグビーフットボール協会、1972年9月1日、17頁。 
  13. ^ a b c d e 「九州ラグビー年表」『九州ラグビー史』九州ラグビーフットボール協会、1972年9月1日、435-456頁。 
  14. ^ 京大ラグビー部百年史 |京都大学ラグビー部100周年特設サイト”. KIURFC 100周年特設サイト. 2022年12月25日閲覧。
  15. ^ a b c 年代史 大正8年(1919)度”. JRFU. 2023年1月15日閲覧。
  16. ^ 日本ラグビーフットボール史”. JRFU. 2023年1月15日閲覧。
  17. ^ a b c 日本ラグビーフットボール史 1年遅れて西部協会も発進”. JRFU. 2023年1月15日閲覧。
  18. ^ 年代史 大正9年(1920)度”. JRFU. 2023年1月15日閲覧。
  19. ^ a b 日本ラグビーフットボール史 早慶定期戦と主催者AJRAの役割”. JRFU. 2023年1月15日閲覧。
  20. ^ 「【野球】大隈重信も困惑。早慶戦ついに中止に [明治39年」 歴史ポケットスポーツ新聞を立ち読み | 大空出版の本]”. www.ozorabunko.jp. 2022年12月26日閲覧。
  21. ^ 年代史 大正13年(1924)度”. JRFU. 2023年1月15日閲覧。
  22. ^ 『九州ラグビー史』九州ラグビーフットボール協会、1972年9月1日、19頁。 
  23. ^ 年代史 大正14年(1925)度”. JRFU. 2023年1月15日閲覧。
  24. ^ 日本ラグビーフットボール史 協会成立の経緯と背景”. JRFU. 2023年1月15日閲覧。
  25. ^ 年代史 大正15年(1926)度”. JRFU. 2023年1月15日閲覧。
  26. ^ 年代史 昭和3年(1928)度”. JRFU. 2023年4月5日閲覧。
  27. ^ 年代史 昭和5年(1930)度”. JRFU. 2023年1月15日閲覧。
  28. ^ 年代史 昭和18年(1943)度”. JRFU. 2023年1月15日閲覧。
  29. ^ 『九州ラグビー史』九州ラグビーフットボール協会、1972年9月1日、23頁。 
  30. ^ 日本ラグビーフットボール史 九州協会が独立・西部協会は関西協会へ”. JRFU. 2023年1月15日閲覧。
  31. ^ 年代史 昭和22年(1947)度”. JRFU. 2023年1月15日閲覧。
  32. ^ 【昭和23年(1948)度 第1回社会人大会決勝】”. adeac.jp. 2025年9月27日閲覧。
  33. ^ 『九州ラグビー史』九州ラグビーフットボール協会、1972年9月1日、32-33頁。 
  34. ^ 「九州リーグ」『九州ラグビー史』九州ラグビーフットボール協会、1972年9月1日、33-34頁。 
  35. ^ 年代史 昭和48年(1973)度”. JRFU. 2023年6月7日閲覧。
  36. ^ a b 機関誌「RUGBY FOOTBALL」42巻4号(1993年1月号)32頁”. JRFU. 2023年6月7日閲覧。
  37. ^ 機関誌「RUGBY FOOTBALL」48巻3号(1998年11月号)68頁”. JRFU. 2023年6月7日閲覧。
  38. ^ 東平尾公園博多の森球技場 - 特集:ラグビーワールドカップ 2019 日本大会:読売新聞”. 【ラグビーワールドカップ2019】日本大会のニュース・実況解説:読売新聞 (2019年1月22日). 2023年6月7日閲覧。
  39. ^ 熊本県民総合運動公園陸上競技場 - 特集:ラグビーワールドカップ 2019 日本大会:読売新聞”. 【ラグビーワールドカップ2019】日本大会のニュース・実況解説:読売新聞 (2019年1月22日). 2023年6月7日閲覧。
  40. ^ 大分スポーツ公園総合競技場 - 特集:ラグビーワールドカップ 2019 日本大会:読売新聞”. 【ラグビーワールドカップ2019】日本大会のニュース・実況解説:読売新聞 (2019年1月21日). 2023年6月7日閲覧。
  41. ^ JRFU. “「JRFU福岡トレーニングセンター(仮称)」 グラウンド一般貸し出し開始のお知らせ|日本ラグビーフットボール協会|RUGBY:FOR ALL「ノーサイドの精神」を、日本へ、世界へ。”. www.rugby-japan.jp. 2022年12月9日閲覧。
  42. ^ JRFU. “JRFU福岡トレーニングセンター|日本ラグビーフットボール協会|RUGBY:FOR ALL「ノーサイドの精神」を、日本へ、世界へ。”. www.rugby-japan.jp. 2022年12月9日閲覧。
  43. ^ 福岡における日本ラグビー強化拠点の 名称決定について”. JRFU. 2023年3月17日閲覧。
  44. ^ JAPAN BASEについて”. JRFU. 2023年5月15日閲覧。
  45. ^ 日本ラグビーの強化拠点、『JAPAN BASE』の開所式にジョセフHCらが出席。 - ラグビーリパブリック” (2023年6月6日). 2023年6月7日閲覧。
  46. ^ 九州ラグビーフットボール協会 |熊本地震復興支援2023年度 関東大学ラグビー招待試合/早稲田大学vs明治大学〔5月14日〕/試合案内”. 九州ラグビーフットボール協会. 2023年6月7日閲覧。
  47. ^ rugby2011 (2015年7月2日). “釜石のレジェンド 森重隆氏が九州協会会長に就任 まずは1万人動員だ! - ラグビーリパブリック”. 2025年9月27日閲覧。
  48. ^ JRFU. “日本ラグビー協会会長就任にあたり|日本ラグビーフットボール協会”. www.rugby-japan.jp. 2025年9月27日閲覧。

関連項目

外部リンク




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