乗り越した場合の精算方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 09:42 UTC 版)
「回数乗車券」の記事における「乗り越した場合の精算方法」の解説
多くの事業者では、普通乗車券とは違って、回数券は利用区間が指定されており、その区間にある駅であればどの駅でも乗降車は可能であるが、下車駅がその区間に含まれない場合は、同じ運賃であってもその区間の末端駅(途中から分岐する場合は分岐駅)から下車駅までの普通運賃を精算しなければならない。 例えば、JR東海道本線の横浜駅から品川駅までを利用しようとして乗車券を購入したものの、恵比寿駅で降りる場合、普通乗車券で利用した場合横浜 - 品川間の普通運賃と横浜 - 恵比寿間の普通運賃の差額の100円を精算すればよいが、横浜 - 品川間の回数券で利用した場合、品川 - 恵比寿間の普通運賃160円を支払う必要がある。(参考:横浜 - 品川間290円〈普通運賃〉+160円=450円相当、横浜 - 恵比寿間390円)。もっとも、JRの運賃制度上、分割購入のほうが安い区間も多々あり、そのような事例で回数券を利用すれば、実際に降りずとも分割した状態の運賃を適用することが可能である。例えば、このケースで下車駅が新宿駅の場合、品川駅 - 新宿駅間の運賃200円を精算することになるので、通常運賃550円のところ490円相当で乗車できる。 ただし、東京地下鉄(東京メトロ)・都営地下鉄・横浜市営地下鉄・東急電鉄等や関西の私鉄・地下鉄などでは上記の利用区間指定式ではなく区間運賃額面式の回数券を発行している。この場合、購入した駅にかかわらずその社局線内のどの駅からでも利用可能で、乗車した駅から額面以上の駅まで乗車した場合には、乗車駅から下車駅までの運賃と額面との差額を精算することになる。ただし、有効線区は発行元の社局線のみで、普通乗車券の場合のように他線区から乗り入れた際の剰余分を精算額に含ませることはできない。 例えば、東京地下鉄の渋谷駅から新橋駅までを利用しようとして乗車券を購入したものの、西船橋駅まで乗り越した場合、普通乗車券で利用した場合でも、170円区間の回数券で利用した場合でも、渋谷 - 新橋間の普通運賃と渋谷 - 西船橋間の普通運賃の差額の110円を精算すればよい。なお、この方式を採用する事業者では、乗り越し額精算時に回数券を金券として使用できる場合がある(例:大阪梅田駅で180円区間の乗車券で乗車→390円区間の京都河原町駅で降車時、差額210円を180円回数券+現金30円で支払うことができる)。 長野電鉄のように、窓口では利用区間指定式・券売機では区間運賃額面式で発券しながら、精算時にはすべて利用区間指定式に準じた扱いを行う社局もある。 例外として、泉北高速鉄道と南海電気鉄道との直通回数券の場合、南海線内の利用は中百舌鳥駅起点での運賃で判断されるため、「難波駅 - 中百舌鳥駅 - 泉北線内」の回数券で、「河内長野駅 - 中百舌鳥駅 - 泉北線内」での利用も可能であった(連絡回数券は乗継割引拡大により廃止)。 事業者によっては、磁気券(回数券・定期券・磁気乗車カード・普通乗車券)を2枚(区間が連続していれば回数券+回数券、定期券+定期券なども可。他、事業者により一部条件あり)同時に自動改札機に投入することで、自動的に精算処理がなされる場合もある。首都圏ではパスネットを導入していた各事業者が対応していた。最近は磁気乗車カードの利用終了やIC乗車カードの普及で大きくは告知していないが、この制度は現在も利用可能である。 なお、回数券を使用しない方が安価に済むなどの事情がある場合、回数券の利用を取り消して発駅からの運賃を別途支払うことを認める事業者もある。この場合、回数券は後日再利用できる(回数券使用時の旅行中止についても同様の取り扱いとなる)。
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