中国の祖先崇拝
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中国の祖先崇拝の文化は儒教が根源になっていると考えられがちだが、儒教思想が広がるかなり前から祖先崇拝の文化は存在した。 殷の時代には「病気や災害は、天や祖先の祟り」と考えられており、それを宥めるために祭祀が行われていた。また、殷は強固な父系社会であり、祖先を敬うことは社会秩序の維持のためにも重要であったと考えられている。 周の時代になると、「福は祖先からもたらされる」「災いは天からもたらされる」と考えられるようになり、子孫の幸福のために祖先を祀るという考え方が生まれた。 このような中国の祖先崇拝の文化は孔子(紀元前552年または紀元前551年 - 紀元前479年)及びその弟子たちが儒教を通して発展させた。孔子の生きた春秋時代は従来の身分秩序が崩壊した時代であり、孔子は緩やかな家父長制に基づく家族関係をもとに社会秩序を再構築することを説いた。儒教はもともと大きな社会勢力ではなかったが、漢の時代になって儒教の経典が公認され、儒家が要職に登用されるようになって中国全土へと普及した。 中国の祖先崇拝における「祖先」の概念には幾つかの条件があり、先に死去した親族が必ずしも祖先として崇拝されるものではない。まず、祖先となるには死者でなければならないが、夭折した者、未婚の者、横死した者は祖先になれず、悪い行いをせず天寿を全うする必要がある。また、祖先となる者は自分を崇拝してくれる子孫を設ける必要があるが、その子孫は自分と同じ姓の宗族員であり、男子もしくは婦人の地位をもつ女性でなければならないとされている。祖先崇拝の宗教観では、祖先は神明と鬼魂との中間的存在であり、適切な供儀を欠かさなければ一族を栄えさせるが、供儀を怠ると鬼魂へと変化し子孫に悪影響を及ぼすと考えられている。 中国での祖先崇拝の例。食事のための食品類を、しかも酒類やお茶類まで用意して、祖先(の霊)に、供物としてささげている。 中国での祖先崇拝の例。先祖が住んでいた古い家で、お茶と線香などを供物としてささげている。 中国での祖先崇拝の例。線香の煙と香りを供えている。
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