不確定性関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 04:25 UTC 版)
詳細は「不確定性原理」および「Hirschmanの不確定性原理(英語版)」を参照 一般的に言って、f(x) が凝縮されればされるほどそのフーリエ変換 ^f はより拡散される。特に、フーリエ変換のスケール性からわかることとして、関数を x において「圧搾」するならば、そのフーリエ変換は ξ において「伸展」される。したがって、関数とそのフーリエ変換の両方ともを勝手に凝縮させることはできない。 関数とそのフーリエ変換のコンパクト化のあいだの得失評価は不確定性関係の形で定式化することができる。ƒ(x) は可積分かつ自乗可積分であると仮定する。一般性を失うことなく関数 ƒ(x) は ∫ − ∞ ∞ | f ( x ) | 2 d x = 1 {\displaystyle \int _{-\infty }^{\infty }|f(x)|^{2}\,dx=1} に正規化されているものと仮定してよい。このとき、プランシュレルの定理により ^f(ξ) も同様に正規化される。 x = 0 の周りでの拡散を D 0 ( f ) := ∫ − ∞ ∞ x 2 | f ( x ) | 2 d x {\displaystyle D_{0}(f):=\int _{-\infty }^{\infty }x^{2}|f(x)|^{2}\,dx} で定義される「0 の周りでの分散」(dispersion about zero) によって測ることにする。確率の言葉で言えば、これは |f(x)|2 の 0 の周りでの二次のモーメントである。 このとき不確定性原理は、関数 ƒ(x) が絶対連続で、関数 x·ƒ(x) および ƒ′(x) が自乗可積分であるならば D 0 ( f ) D 0 ( f ^ ) ≥ 1 16 π 2 {\displaystyle D_{0}(f)D_{0}({\hat {f}})\geq {\frac {1}{16\pi ^{2}}}} が成り立つことを述べる。等式が成立するのは f ( x ) = C 1 e − π x 2 / σ 2 {\displaystyle f(x)=C_{1}\,e^{{-\pi x^{2}}/{\sigma ^{2}}}} したがって、 f ^ ( ξ ) = σ C 1 e − π σ 2 ξ 2 {\displaystyle {\hat {f}}(\xi )=\sigma C_{1}\,e^{-\pi \sigma ^{2}\xi ^{2}}} である場合に限る。ただし、定数 σ > 0 は任意であり、係数 C1 は ƒ を L2-正規化する定数である。言い換えれば、 ƒ は 0 を中心に持つ(正規化)ガウス関数のとき等号が成り立つ。 事実として、この不等式は任意の x0, ξ0 ∈ R について [ ∫ − ∞ ∞ ( x − x 0 ) 2 | f ( x ) | 2 d x ] [ ∫ − ∞ ∞ ( ξ − ξ 0 ) 2 | f ^ ( ξ ) | 2 d ξ ] ≥ 1 16 π 2 {\displaystyle {\Big [}\int _{-\infty }^{\infty }(x-x_{0})^{2}|f(x)|^{2}\,dx{\Big ]}{\Big [}\int _{-\infty }^{\infty }(\xi -\xi _{0})^{2}|{\hat {f}}(\xi )|^{2}\,d\xi {\Big ]}\geq {\frac {1}{16\pi ^{2}}}} が成立することをも含む。 量子力学において、運動量と位置の波動関数は(プランク定数を因子に持つ)フーリエ変換対である。プランク定数でスケールしなおせば、上述の不等式はロバートソンの不確定性関係を記述する。これは、ハイゼンベルグが構想した不確定性原理そのものではないが、深い関係がある。
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