最小波束状態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/03 16:57 UTC 版)
量子論においてガウス波束 ψ ( x , 0 ) {\displaystyle \psi (x,0)} は最小不確定状態とも呼ばれる。t = 0 での原点を中心とした3次元ガウス波束を次のように書き直す。 ψ ( r , 0 ) = e − r ⋅ r / 2 a {\displaystyle \psi (\mathbf {r} ,0)=e^{-\mathbf {r} \cdot \mathbf {r} /2a}} ここで a は正の実数で、波束の幅の2乗である。 a = 2 ⟨ r ⋅ r ⟩ 3 ⟨ 1 ⟩ = 2 ( Δ x ) 2 {\displaystyle a={\frac {2\langle \mathbf {r} \cdot \mathbf {r} \rangle }{3\langle 1\rangle }}=2(\Delta x)^{2}} t = 0 でのフーリエ変換も、波数ベクトル k についてのガウス関数となっている。 ψ ( k , 0 ) = ( 2 π a ) 3 / 2 e − a k ⋅ k / 2 {\displaystyle \psi (\mathbf {k} ,0)=(2\pi a)^{3/2}e^{-a\mathbf {k} \cdot \mathbf {k} /2}} このガウス波束の幅は、a の逆数であり、 1 a = 2 ⟨ k ⋅ k ⟩ 3 ⟨ 1 ⟩ = 2 ( Δ p x ℏ ) 2 {\displaystyle {\frac {1}{a}}={\frac {2\langle \mathbf {k} \cdot \mathbf {k} \rangle }{3\langle 1\rangle }}=2\left({\frac {\Delta p_{x}}{\hbar }}\right)^{2}} よって不確定性関係において等号が成立している。 Δ x ⋅ Δ p x = ℏ 2 {\displaystyle \Delta x\cdot \Delta p_{x}={\frac {\hbar }{2}}} 波束の幅が運動とともに線形的に広がっていくことは、運動量の不確定性を反映している。波束が Δx = √a/2 ほどの狭い範囲に制限されていると、運動量は ħ/√2a ほどの不確定性を持つ。波束は ħ/m√2a の速度で広がり、時間 t で ħt/m√2a ほど進む。不確定性関係は等号から大きく外れ、最初の不確定性 Δx⋅Δp = ħ/2 は、t が大きくなると ħt/ma 倍に増加する。
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