三原則と人間の行動原則
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/26 21:34 UTC 版)
「ロボット工学三原則」の記事における「三原則と人間の行動原則」の解説
『われはロボット』の一編『証拠』は、知事選に出馬した若き政治家スティーブン・バイアリイに関して、そのあまりに品行方正な人物像から彼の政敵が「彼は人間そっくりに作られたロボットだ」と主張する話である。この主張の裏付けを求められたカルヴィンは、ロボット工学三原則はひいては模範的な人間の行動原則でもあり(むやみに他人を傷つけず、他人を救うために自身をも犠牲にする/上司や行政の命令に従う/自身の安全を図る)、ある人物が三原則を遵守しているからといって彼がロボットであるとは結論できないと語っている。 逆に、その人物が三原則に反する行為を行えば、彼がロボットでなく人間であることが証明されることになり、バイアリイは講演の席で自分を挑発した聴衆のひとりを殴りつけることで、疑惑を一掃して選挙に勝利した。しかしその後カルヴィンは、たとえ彼がロボットであってもこの行動を可能とする方法を、すなわち「人間そっくりのロボットが別な人間そっくりのロボットを殴ることには、三原則上何の制限もない」ことを示している。なおバイアリイは優れた政治手腕で後に地球統一政府の初代総監にまで登りつめたが、最期は自身の体を元素分解して自殺してしまったため、彼の正体はついに謎のままであった(そして「聴衆のひとり」の正体も謎のままであった)。 『鋼鉄都市』では、地球のスペーサー駐在施設スペース・タウン(宇宙市)で殺人事件が発生した際、駐留していた全てのスペーサーが脳分析を受けた結果、全員が精神構造的に殺人が不可能であるとの診断を下されたとする件があり、スペーサー社会において三原則がロボットのみならず、スペーサー自身の模範的な行動原則としてもその精神に浸透していることがうかがえる(ただしスペーサーの多くは、先祖である地球人のことは野蛮で病原菌の巣窟であるとして同じ「人間」とはみなしておらず、当時の地球に対するスペーサー・ワールド諸政府の抑圧はこのことに起因している)。また全ての生物・非生物が精神共有を成している超有機体ガイアの住人は、その世界を維持しうる精神の鋳型として三原則(および第零法則)が刷り込まれている。
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