レナード-ジョーンズ・ポテンシャルの数式による表記とは? わかりやすく解説

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レナード-ジョーンズ・ポテンシャルの数式による表記

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/25 07:28 UTC 版)

レナード-ジョーンズ・ポテンシャル」の記事における「レナード-ジョーンズ・ポテンシャルの数式による表記」の解説

レナード-ジョーンズ・ポテンシャル U ( r ) {\displaystyle U(r)} の一般形は、次の式であらわされる。 U ( r ) = 4 ϵ [ ( σ r ) p − ( σ r ) q ] {\displaystyle U(r)=4\epsilon \left[\left({\frac {\sigma }{r}}\right)^{p}-\left({\frac {\sigma }{r}}\right)^{q}\right]} (1) ここで、 r {\displaystyle r} は原子間距離(間距離)である。 σ {\displaystyle \sigma } , ϵ {\displaystyle \epsilon } は、フィッティングパラメータ(物理学的な意味後述)で、これと、次数p,qを定めることによってレナード-ジョーンズ・ポテンシャル一意に決まる。 特に引力項の次数q = 6、斥力項の次数p = 12とした U ( r ) = 4 ϵ [ ( σ r ) 12 − ( σ r ) 6 ] {\displaystyle U(r)=4\epsilon \left[\left({\frac {\sigma }{r}}\right)^{12}-\left({\frac {\sigma }{r}}\right)^{6}\right]} (2) を、(6,12)ポテンシャルという。(6,12)ポテンシャルは、レナード-ジョーンズ・ポテンシャル代表例である。以降、(6,12)ポテンシャルのことを、レナード-ジョーンズ・ポテンシャルとして説明する。 U ( r ) = A r12B r − 6 {\displaystyle U(r)=Ar^{-12}-Br^{-6}} のように簡単な形で書かれることもある。 ここで、−6乗の引力項は、二つ原子の間の分散力、すなわち双極子-双極子間の相互作用よるものである。原子永久双極子ゼロであっても短時間をとった場合電荷分布揺らぎによる双極子現れる。この双極子電場により、もう一方原子分極し、誘起双極子生じる。この相互作用ポテンシャル原子間距離の-6乗に比例したものとなる。 一方、−12乗の斥力項は、電子雲重なりによって反発力が働くためである。指数の−12は、−6のちょう2乗扱いやすいために選ばれることが多い。反発力主な機構は、パウリの排他律によって、低いエネルギー分子軌道電子入れないためである。 (1),(2)式より、 σ {\displaystyle \sigma } は距離の次元持ち、 r = σ {\displaystyle r=\sigma } のときポテンシャルエネルギーゼロになることがわかる。これより粒子間距離が小さ領域は−12乗の強い斥力支配されこれ以上接近することが稀であることから、 σ {\displaystyle \sigma } を衝突直径と呼ぶことがある。また(1)式から、 ϵ {\displaystyle \epsilon } はエネルギー次元持ちポテンシャル深さ表している。この2つのフィッティングパラメータ σ {\displaystyle \sigma } , ϵ {\displaystyle \epsilon } によって、レナード-ジョーンズ・ポテンシャル一意に決まる。 これらのパラメータ粒子-粒子間の相互作用であるため、厳密に特定の物質が持つ物性ではない。理想的に全ての粒子種の組み合わせ100越え原子についてはおよそ5000組、ユナイテッドアトム・モデルまで拡張するとさらに増える)について、その全て実験的事実から検討されることが望ましいが、現実的ではない。そのため、同種の粒子間力に関するパラメータ実験的に得てローレンツ-ベルテロ則用いるなどして異種粒子間のパラメータ推算することが一般となっている。 ここで、原子相対運動において角運動量がない(回転による遠心力がない)とした場合の、平衡原子間距離について考察する。(2)式を原子間距離 r {\displaystyle r} で微分すると、原子間に働く力 F ( r ) {\displaystyle F(r)} が得られる(斥力を正とした)。 F ( r ) = − d d r U ( r ) = 4 ϵ ( 12 σ 12 r 13 − 6 σ 6 r 7 ) {\displaystyle F(r)=-{\frac {d}{dr}}U(r)=4\epsilon \left(12\,{\frac {{\sigma }^{12}}{r^{13}}}-6\,{\frac {{\sigma }^{6}}{r^{7}}}\right)} (3) (4)式で与えられる平衡原子間距離 r 0 {\displaystyle r_{0}} においては、 F ( r 0 ) = 0 {\displaystyle F(r_{0})=0} となるため、(3)式を用いると以下の関係が成立するr 0 = 2 1 / 6 σ {\displaystyle r_{0}=2^{1/6}\sigma } (4) また、(2)式を r {\displaystyle r} で二階微分して、 r = r 0 {\displaystyle r=r_{0}} を代入すれば正値になるため、ポテンシャルエネルギーr 0 {\displaystyle r_{0}} において極小値をとり、安定点であることが確認できる物質格子定数は、この r 0 {\displaystyle r_{0}} とよく一致する次に、 ϵ {\displaystyle \epsilon } が、ポテンシャルエネルギー深さであることを示す。(2)式の σ {\displaystyle \sigma } に(4)式を代入すると、次のうになる。 U ( r ) = ϵ [ ( r 0 r ) 12 − 2 ( r 0 r ) 6 ] {\displaystyle U(r)=\epsilon \left[\left({\frac {r_{0}}{r}}\right)^{12}-2\left({\frac {r_{0}}{r}}\right)^{6}\right]} (5) したがって、2原子間の距離が r = r 0 {\displaystyle r=r_{0}} のとき、(5)式は U ( r 0 ) = − ϵ {\displaystyle U(r_{0})=-\epsilon } となる。つまり、 r → ∞ {\displaystyle r\rightarrow \infty } の解離極限では、 U ( r ) → 0 {\displaystyle U(r)\rightarrow 0} であることを用い零点振動無視すれば、 ϵ {\displaystyle \epsilon } は2つ原子間の結合エネルギー解離エネルギー)に相当することがわかる。

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