リベラル派・エキュメニカル派の立場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/06 08:26 UTC 版)
「福音主義」の記事における「リベラル派・エキュメニカル派の立場」の解説
プロテスタント諸教派の信仰は、元々広く「福音主義」という名称で語られてきた歴史がある。よって、福音主義という語は、いわゆる「福音派」の専売特許ではないとする見方がある。例えば、アメリカ福音ルター派教会(Evangelical Lutheran Church in America)も、世界教会協議会(WCC)に加盟するエキュメニカル派に分類され、強いリベラル傾向を持つが、「Evangelical」、すなわち「福音主義の」という意味の名称を持っている。 「聖書のみ」が宗教改革者マルティン・ルターやジャン・カルヴァンらの原理であったが、プロテスタント諸教派がすべてこの原理を「厳密に(福音派の解釈どおりに)」解釈・適用しているわけではない。早くも16世紀宗教改革当時にルター派の基本理念をまとめた『アウクスブルク信仰告白』においても、“第15条 教会の儀式について-福音に反しない限りにおいて、古くからの教会の益となる伝統は守られるべきである”と宣言されている。また、広義のプロテスタントに含まれることもある聖公会は、「聖書・伝統・理性」の三本柱を信仰の基盤とする。そして、近現代の自由主義神学派や新正統主義神学派は、福音派が根本原理とする「聖書信仰」(聖書無謬説、十全霊感説等)に対して懐疑的・否定的である。しかし、それらの教派・学派も、自らの立場を(福音派とは異なった意味で)「福音主義」あるいは「福音的」(evangelical)であると自認する場合がある。 他方、いわゆる福音派も、様々な教義的・歴史的背景を持つプロテスタント諸教派にまたがるムーブメントであるため、実際には必ずしも一枚岩ではなく、様々な見解の違いや温度差がある。また、自由主義神学やエキュメニズムに対して否定的であり、聖書信仰を軸とするプロテスタント保守派であっても、それが即ち福音派というわけではない。米国に拠点を置くルター派の一派であるミズーリ・シノッド(英語版)やウィスコンシン・シノッド(英語版)などは、思想的には保守的で福音派と共通する面が多いが、礼拝様式などの面ではむしろ改革派の影響を受けたドイツのルター派よりも伝統的であり、福音派のグループとは距離を置いている。
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