リニアモーター試験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 02:56 UTC 版)
「東京都交通局12-000形電車」の記事における「リニアモーター試験」の解説
1987年(昭和62年)6月、地下鉄12号線建設推進本部が「現在開発されつつあるリニアモーター車両のメリットも大きいので、1987年3月下旬に開始されたリニアモーター車両の試験の状況および車両技術の動向などを踏まえ、今後、車両の駆動方式(リニアモーター方式・回転形モーター方式)について、放射部車両の製作時期までに決定する」とされた。 これを受け、本試作車をリニアモーター方式に改造した。これは鉄輪式リニアモーター車両は日本国内では試験段階にあり、実用化はされておらず、車両性能や安全性・経済性など確認するためであった。 リニアモーター方式への改造および試験は社団法人日本地下鉄協会に委託をして実施した。車体やVVVF制御装置、ブレーキ装置など各種機器をリニア用に改造を実施した。ブレーキ装置には逆相ブレーキおよび電磁吸着ブレーキを取り付けた。 新たにリニアモーター(車上1次片側式三相リニア誘導電動機・120 kW出力)を製作した、12-001も電動車へと改造された。リニアモーターは日立製作所(TLIM-12H形)、三菱電機(TLIM-12M形)、東芝(TLIM-12T形)の3社で製作した。 台車はリニアモーター専用のものが製作され、リニアモーターの装架方法の違いから2種類あり、A方式は台車枠装架方式、B方式は主軸受装架方式とされた。台車の製造は住友金属工業と日本車輌製造が担当した。車輪径は610mmと、さらに低床化された。 前述した馬込検車場の試験線にはリアクションプレートが敷設され、1988年(昭和63年)4月 - 6月・9月 - 11月に走行試験を実施した。試験線のほか、浅草線5000形の牽引により、検車場内の曲線走行試験も実施した。この試験結果もおおむね良好であったとされており、この試験結果から、1988年12月21日に地下鉄12号線は全線リニアモーター方式を採用することが決定された。 試験で得られた実績の多くは量産車において採用された。しかし、この試作車は開業後の営業運転に使用することはなく、試験終了後に引退した。ただし、この試作車は東京都交通局の車両として入籍しておらず、車両として竣工していない。検車場内の走行試験や終電後の本線走行試験は線路閉鎖を実施して行ったもので、あくまでトロリー扱いで走行試験が実施されたものであった。 その後は豊島区に無償譲渡され、1991年(平成3年)2月より2両とも千早フラワー公園にて静態保存されている。12-001は車内が一般公開されており、12-002は地域集会室となっている。
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